「くり小刀で40か所も刺せば手に傷が」「雨が降っていないのにわざわざ雨合羽」弁護側 検察主張の“犯人はみそ工場関係者と強く推認”に反論【「袴田事件」再審 第2回公判詳報】

1966年、静岡県旧清水市(現静岡市清水区)で一家4人が殺害されたいわゆる「袴田事件」で、死刑が確定している袴田巖さん(87)の再審=やり直し裁判の第2回公判が11月10日、静岡地方裁判所で開かれています。午前中の公判では、証拠調べとして、検察側の主張に対する弁護側の反論が行われました。

【写真を見る】「くり小刀で40か所も刺せば手に傷が」「雨が降っていないのにわざわざ雨合羽」弁護側 検察主張の“犯人はみそ工場関係者と強く推認”に反論【「袴田事件」再審 第2回公判詳報】

弁護側は、初公判での検察側の主張では、「どこから侵入したのか」「どこで刺したのか」「金品の奪い方」の3点について、明らかにされていなかったと指摘。その上で、検察側が、証拠から「犯人がみそ工場関係者であることは強く推認される」という主張に対し、反論しています。

現場に残された雨合羽については、雨が降っていないのにわざわざ、ゴワゴワするものを着ていかないと主張。発見の時間を訂正したことにも、不可思議な点があるとしました。

これまで凶器とされてきた「くり小刀」に関しても、不可解な点があると主張しました。具体的には…

▼くり小刀の形状から遺体を合わせて40か所も刺せば、刃と柄の間につばがないものであれば、血で滑って犯人の手には傷があったはずだ。

▼くり小刀は、職人用の工具であり、現場からは他にも小刀が見つかっていることから、もともと自宅にあったものではないか。

このようなことから、あたらめて、凶器は、被害者宅にあった別の柄の長い刃物、包丁だと主張しました。また、本来あるはずの包丁が被害者の自宅からなくなっていて、弁護側は犯人が現場から持ち去ったと主張しました。

その後、弁護側は、モニターを使いながら、事件現場や被害者4人の遺体の状況など、今回の裁判に提出した証拠を示しました。また、雨合羽とくり小刀のものとされる「さや」の実物を法廷で裁判官に示しました。

© 静岡放送株式会社