【リニア】国の有識者会議「環境問題」に結論…JR「いいものがまとまった」 静岡県「まだ論点がある。残念」 岸田総理は静岡をけん制?

JR東海 宇野護副社長(7日):「かなりいいものがまとまったという認識がある」

7日、JR東海がこのように評価したのは、リニアの工事で環境への影響を議論する国の有識者会議についてです。リニア中央新幹線のいわゆる“静岡問題”を解決するために、国交省が設置した有識者会議。2020年4月に1回目の会議が開かれ、「水問題」について議論が行われてきました。

水問題については2021年に必要な対策を講じることで「中下流域の河川流量は維持される」という中間報告をまとめています。

そして、去年6月からテーマが南アルプスの「環境問題」に移り、7日の会議でその“結論”がまとめられたのです。

JR東海 宇野護副社長(7日):「この話はこれで終わりということではなくて、工事前・工事中・工事後・いろいろな懸念があるということも承知していますし、これからがある意味本番だという気もします」

水問題から数えて、これまでに27回開催された国の有識者会議。環境問題に関する議論では、トンネル掘削によって南アルプスの植物などに影響が及ぶ可能性はないと考えられる、とされています。今後は国が最終的な“とりまとめ”を行い、公表する方針です。

静岡県「これで終わりとなると、とても残念」

ところが、これに静岡県側は…

静岡県 森貴志副知事(7日):「議論を行わなければならない論点がまだあるという認識で、有識者会議がここで終了して報告書がまとまり、これで終わりということになると、とても残念な思いがある」

静岡県側は「工事着手前」の生態系への影響予測などを有識者会議で議論すべきとしていて、最後まで、すれ違いの様相となりました。

リニア全線開通後「静岡県内で停車回数1.5倍」国の調査には…

今回の国の有識者会議のように、ここにきて、リニアをめぐる国の動きが多方面で活発になってきています。

斉藤国交大臣(10月20日):「東海道新幹線の静岡県内の列車の停止回数が、現状の1.5倍程度増加するとした場合、静岡県内における停車頻度が増加し、新幹線と在来線の乗り継ぎがスムーズになるなど利便性の向上が期待される」

岸田総理が年頭会見で言及したリニア全線開業に伴う東海道新幹線の増便調査。これには県内でも意見が割れました。

静岡市 難波喬司市長(6日):「停車回数の増加の効果だが、非常にありがたい話だが、一番大事なことは、ひかりとこだまが停車してくれているが、あまり降りてもらえていない。止めたときに降りてもらえるような状態にするというのが、非常に大事だと思う」

一方で川勝知事は…。

静岡県 川勝平太知事(10月23日):「今度の国交省の発表にはあきれました。内容はお粗末であるということであります。この計算は何年生ぐらいでできるでしょう。掛け算というのは。小学生でもできますか。単なる頭の体操」

岸田総理「関係自治体等にも働きかけて」…静岡以外の沿線4知事に

さらに、6日には、静岡“以外”の沿線県知事らが岸田総理に地域振興の要望書を提出。

岸田総理(6日):「ぜひ、知事の皆様におかれましても、全体のプロジェクトが進むように、関係自治体等にも働きかけていただく、環境づくりという点でお力添えをいただければと思いますので、どうぞ宜しくお願いします」

岸田総理が言及した「関係自治体」が何を指すのかは定かではありませんが、まるで静岡をけん制するような動きが国を中心に活発になってきています。

2027年の開業が出来なくなった今、静岡県としてどのような姿勢を示していくのか? 川勝知事の舵取りに注目が集まります。

(11月8日放送)

© 静岡朝日テレビ