食品製造業の市場・企業分析を実施(2023年) 上場食品メーカーの2022年度売上総額が大幅伸長、海外売上が業績を牽引

株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、株式上場食品製造事業者(メーカー)126社の2022年度業績を集計するとともに、食品メーカー及び食品業界の現状と課題、将来展望について明らかにした。

1.調査結果概要

調査対象企業126社の合計売上高は2022年度が29兆2,037億円(前年度対比10.7%増/調査対象企業における非食品関連売上を含む)。 日本国内における深刻なダメージをもたらしたコロナ禍からの回復や段階的に進めた販売価格の改定に加え、海外事業を有する企業において、為替の影響に加え、現地市場の開拓やM&Aにより売上を大きく伸ばした企業が多く、大幅な増収に寄与した。

一方、売上総利益は2022年度の総額が8兆2,577億円(前年度対比3.6%増)、営業利益が1兆5,030億円(同2.3%増)であり、売上の伸びに対して伸長率が緩やかなものに止まった。原材料高やエネルギーコストの上昇などの生産コストの悪化、運送費などの高騰に対し、販売価格への転嫁が追い付かず、利益の悪化に繋がった企業が多く、利益の伸びが低調なものとなった。

また、売上総額に対する売上総利益率の比率が28.3%(2021年度:30.2%)、営業利益率5.1%(2021年度5.6%)であり、売上総利益率、営業利益率ともに2021年度に比べて悪化した。

2.注目トピック~海外売上公開企業39社の2022年度売上高は21兆6,257億円、前年度対比12.3%増

調査対象企業126社の内、海外売上を2021年度、2022年度ともに公開している企業39社の海外売上高が21億6,257億円、前年度に比べ12.3%増と大幅な伸びとなった。

為替の影響があるものの、大手企業を中心に米国や欧州などの大消費地において着実に事業を拡大している企業が売上を伸ばし、頭打ち感の強い国内事業をカバーするケースが散見される。経営計画として海外市場の拡大を掲げる企業も多く、成長戦略の一つとして海外が切り離せない存在となっている。

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