真心込めネームプレート手作り 和歌山・田辺市龍神村の浦さん夫婦、関西実業団駅伝の選手らへ

ネームプレートに通したひもを固定するため、金具を取り付ける浦長男さん(和歌山県田辺市龍神村宮代で)

 和歌山県田辺市龍神村で12日にある関西実業団対抗駅伝競走大会に向けて、龍神村宮代の浦長男さん(86)が今年も選手らに贈る木製ネームプレートを手作りしている。妻のさとみさん(83)と協力して、監督や本部役員らの分も含めて250個ほどを一つずつ仕上げている。

 浦さん夫妻は毎年、この大会の選手らに手作りのネームプレートを贈っている。木のぬくもりが感じられると好評で、今年は12月に4年ぶりに龍神村で開かれる「龍神温泉木の郷マラソン大会」の参加者の分も準備している。過去には両大会で計千個以上を作ったこともあったという。

 ネームプレートの大きさは直径約4センチ、厚さ約2.5センチ。真っすぐ育ち、切り口が円形になるシバハラという品種のスギを休耕田で育てて使用している。育ったスギは冬の間に輪切りにして釜でゆでて、皮を取り除いて日陰で乾燥させた後、手触りがなめらかになるよう磨いている。

 名前を書く作業は長男さんが担当し、選手らのリストを見ながら1個ずつ、墨と筆で選手の姓を書いている。もう一方の面には焼き印で大会名を付けて、1個ずつ穴を開けてひもを通して完成させる。木を育てる期間も含めると、作るのには10年余りかかっているという。

 長男さんは「龍神村に来て走ってくれる皆さんへの、おもてなしの心を込めて続けている。日頃の農作業と違って細かい作業なので、妻の力も大きい。周囲への恩返しと、少しでも役に立てたらという思いで頑張っている。要望がある限り、できるだけ続けていきたい」と話している。

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