1票差逆転、当選無効に 栃木・小山市議選で 栃木県選管採決、疑義票に余計な記載

 4月の栃木県小山市議選(定数28)で1票差で落選した荒井覚(あらいさとる)氏(60)からの申し立てを受け、県選挙管理委員会は10日、票を再点検した結果、最下位で当選した片山照美(かたやまてるみ)氏(67)の当選を無効とする裁決を行ったと発表した。片山氏の得票のうち2票を無効票と判断した。裁決は7日付。

 同市議選で片山氏は1049票、次点の荒井氏は1048票だった。

 荒井氏は「わずかなミスで当落が覆ることになる」と再点検を求め、4月28日付で同市選挙管理委員会に異議申し立てを行った。しかし、再点検で誤りや混入票などは確認されなかったとして6月に棄却された。

 これを不服として荒井氏は棄却決定の取り消しなどを求め、県選管に7月7日付で審査を申し立てていた。

 県選管は9月16日に両氏や同市選管の立ち会いの下、票の再点検を実施。荒井氏から効力に疑義があると指摘のあったものなど16票を抽出して審理した結果、片山氏の得票とされた2票に候補者名以外の余計な記載があり、無効票と認定した。

 結果として荒井氏の得票が片山氏を上回ることになり、同市選管の棄却決定を取り消し、片山氏の当選を無効とした。

 裁決に不服がある場合は公選法に基づき告示日(13日)から30日以内に東京高裁に提訴することができる。訴訟の提起がなく県選管の裁決が確定した場合は、速やかに同市が選挙会を開いて当選者を決定し直す。

 県の裁決を受け、同市選管の佐伯一之(さえきかずゆき)委員長は「内容を真摯(しんし)に受け止める。今後の状況に応じ適宜対応する」とコメントを出した。

 荒井氏は取材に「訴えが認められほっとしている」と冷静な受け止めを見せた。

 県選管によると、過去には1979年の南那須町議選で最後の1枠の得票が同数となりくじで当選者を決めたケースで不服申し立てがあり、再点検の結果、当選無効となった事例があった。67年の県議選でも不服申し立てを受けて審査した結果、当選無効者が出た。

大激戦となった小山市議選の開票作業=4月23日午後11時5分、小山市外城、県南体育館
小山市役所

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