ウィンブルドン、今季も『FOOTBALL MANAGER』が胸ロゴ!4部チームと人気サッカーゲームの“知られざる歴史”に迫る

主に1990年代や2000年代に全盛だったゲームの“胸ロゴ”。現在ではほとんど見かけなくなってしまったが、わずかに生き残っているチームがある。

そんな貴重なチームの一つがサッカーシュミレーションゲーム『Football Manager』のロゴを付けるイングランド4部(EFLリーグ2)所属のAFCウィンブルドンだ。

しかし、4部リーグのチームがなぜ世界的なゲームソフトと胸スポンサー契約を結べるのか。少々不思議ではあるが、まずは今季のユニフォームを簡単に紹介しよう。

AFC Wimbledon 2023-24 Umbro Home Away Third

AFCウィンブルドン 2023-24 Umbro ホーム ユニフォーム

23-24ホームユニフォームはブルーを基調にイエローを組み合せたデザイン。この2色は2002年のクラブ創設時から不変だ。胸にはもちろん今季も『Football Manager』を誇らしげに付ける。胸部のグラデーションが実に美しい。

AFCウィンブルドン 2023-24 Umbro アウェイ ユニフォーム

23-24アウェイユニフォームはUmbroが得意とするクラシックスタイルが魅力的。ホワイトを基調とし、差し色にブルーとイエローを組み合せる。アウェイの色はシーズンによってイエローやレッドを基調色に使うこともあり、いわゆる鉄板カラーは存在しない。

AFCウィンブルドン 2023-24 Umbro サード ユニフォーム

一番最後に発表された23-24シーズンのサードユニフォームは、レトロスタイルにネイビーとゴールドのコンビネーションがファンに絶賛されている。AFCウィンブルドン史上、最もスタイリッシュなデザインだ。

クラブと『Football Manager』の制作会社であるスポーツ・インタラクティブ社は今夏、胸スポンサー契約の延長を発表。2002年のパートナーシップ締結からなんと22年目に突入した。同一企業とのスポンサー契約としては、おそらくイングランド最長と思われる。

この両者によるパートナーシップは、AFCウィンブルドンの“前身クラブの本拠地移転”が切っ掛けとなっている。

新作が大好評の『Football Manager 2024』。このゲームを手掛けたスポーツ・インタラクティブ(SI)社はAFCウィンブルドンと同じくロンドンを拠点に活動。現在は日本のSEGA(セガ)傘下に収まっている。

(2002-04 ホーム ユニフォーム)

古くからのイングランドサッカーファンならご存知のように、イングランドにはかつてウィンブルドンFCと名乗るチームが存在し、90年代にはプレミアリーグでも戦っていた。そのチームが2001年に本拠地移転を計画し、2003年に実行。チーム名も後にミルトン・キーンズ・ドンズ(MKドンズ)へ変更する。

現在のAFCウィンブルドンは本拠地移転に反対した旧ウィンブルドンFCサポーターによって2002年に結成され、9部リーグから活動を開始。このクラブを創設時からバックアップしてきたのがSI社である。

(2012-13 ホーム ユニフォーム)

胸スポンサー契約は本格的に活動をスタートした2002-03シーズンから。契約金は「英ポンドで6桁」だったようで、仮に10万ポンドとしても当時の為替レートで換算すると日本円で約1,900万円とかなりの高額だ。

当初は胸にSI社のロゴのみを付けていたが、06-07シーズンのアウェイユニフォームに『Football Manager』のロゴが初登場。以降はホームに企業ロゴ、アウェイにFMロゴと2つを使い分けていたが、12-13シーズンからはFMロゴで完全に統一し現在に至る。

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SI社がAFCウィンブルドンと契約した詳細な経緯については不明だが、90年代からサッカーゲームを製作してきた同社としては、同じロンドンの新興クラブを手助けたいという気持ちが働いたのかもしれない。

当初予定は3年間だったという胸スポンサー契約も22年目に。9部からスタートしたクラブはその間に一時はEFLリーグ1(3部)にまで上昇した。

クラブとSI社の関係は相当良好なものであることに疑いの余地はない。だが、そんな両者が年に一度だけ敵対する日が来るという。両スタッフによるサッカーの試合だ。

ちなみに直近の2023年3月の試合では、5-3でSI社チームが勝利している。

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