細田博之 前衆議院議長が11月10日に亡くなりました。79歳でした。「三権の長」でありながら、疑惑に対する質問にほとんど応じなかった細田氏を、1年5か月にわたって取材したCBCテレビ木下大記者のリポートです。
(木下大記者)
「議長、記者会見など公式な場での説明の予定はないのでしょうか。国民はそれで納得すると思いますか?」
ことし3月、記者の問いかけには応じず、無言で通りすぎる当時の細田博之衆議院議長。国会担当の私は、こうした光景を幾度となく目の当たりにしてきました。
(木下記者 東京・10日午後2時ごろ )
「国会議事堂の中央塔の左側のエリアが衆議院の建物です。細田議長は当時、噴水の奥にある車寄せスペースに公用車を止め、そこから議長公邸へと向かっていました」
議長室の前に張り込む日々…警備を担当する衛視にも顔を覚えられた
私が細田氏を取材し始めたキッカケは、去年5月の週刊誌によるセクハラ疑惑報道でした。その後も旧統一教会との親密な関係が次々と指摘され、およそ1年5か月にわたり取材を続けてきましたが…
(木下記者)
「議長、教団関連の票の差配をご自身でされていたのでしょうか。紙で説明したからそれでおしまいですか?」
細田氏は一貫して私たちの問いかけに、黙して語らず。私は細田氏が「説明責任を果たすべきだ」という気持ちから動向を追い続けました。
(木下記者)
「記者会見など開いた方がいいんじゃないですか?」
衆議院議長は、内閣総理大臣、最高裁判所長官と並ぶ「三権の長」。「疑惑は事実なのか」、そんなシンプルな質問にさえ答えないのはおかしい。
議長室前で張り込み、いつしか私は国会警備を担当する衛視にも、顔を覚えられるほどでした。
「十分お答えしています…」「まだ質問したい記者がいますよ、議長!」
こうした中、10月ようやく記者会見を開いた細田氏。しかし質問の論点をわざとすりかえて受け応えをしているような姿勢で明確な説明はなく、一方的に疑惑を否定しただけでした。
(細田博之衆議院議長・当時)
「今までも十分お答えしていますから」
(記者)
「お答えされてこなかったじゃないですか、1年5か月。説明されなかったからですよ。これだけ質問が出ているのは」
(細田博之衆議院議長・当時)
「きょう説明しました」
(記者)
「まだまだ手が挙がっているじゃないですか。まだ質問したい記者がいますよ議長!」
「説明責任」について考え続けた1年5か月。細田氏の姿勢は最後まで十分な説明責任を果たしたとは、到底言いがたいものでした。