スーパー耐久富士で18年ぶり復活の織戸/谷口コンビのD’station Vantage GT8Rが走行開始

 11月11〜12日、静岡県の富士スピードウェイで開催されるENEOS スーパー耐久シリーズ2023 Supported by BRIDGESTONE第7戦『S耐ファイナル 富士4時間レース with フジニックフェス』は今季最終戦ということもあり数多くの見どころがあるが、そのひとつと言えるのが、ST-1クラスに参戦するD’station Vantage GT8Rだ。あの織戸学と谷口信輝が18年ぶりにコンビを組むことになったが、どうやら4時間レースをふたりで走り切るつもりのようだ。

 今季D’station Racingは、ST-1クラスにD’station Vantage GT8Rを投入し、星野辰也/織戸学/浜健二/ジェイク・パーソンズという4人で戦ってきたが、今季最終戦に向け織戸と藤井誠暢マネージングディレクターが相談し「面白いことをやろう」と決まったのが谷口信輝の起用だ。一方、星野/浜/パーソンズの3人はST-Xクラスに挑戦。近藤翼を加え、初めてのGT3でのレースに臨む。

 11月9日の走行初日、まずD’station Vantage GT8Rは織戸と谷口のふたりだけで走行がスタートした。初めてアストンマーティンのレーシングカーをドライブした谷口だが、「すぐ慣れた。GT4がベースだからジェントルマンドライバーでも乗りやすいクルマだし、クセもない。タイヤもユーズドしか履いていないけど、温まりも早い」とあっという間にバンテージGT8Rをものにしたのはさすがというところだろう。

 ただ谷口はもちろんD’station Racingでレースを戦うのが初めて。「初めてのクルマ、初めてのチーム、初めてのやり方を学んでいるところ」と少しずつチームの雰囲気に溶けこみつつある。その点ではWECを終えたばかりの藤井マネージングディレクターも11月10日には富士入りし、雰囲気を盛りたてている。そして織戸と谷口がそろうと、やはりこれ以上ないほど絵になる。

 ただ気になるポイントだったのは、D’station Vantage GT8RのAドライバーが誰になるかだった。今季からスーパー耐久では全クラスでAドライバーの登録が求められており、満60歳以上のすべてのドライバー、40歳以上のSTO、STELが認めたアマチュア、STO・STELが認めたドライバーが必要となる。今回チームはSNS等でふたりにふさわしいドライバーの意見を募り、ギリギリまで起用に向けた交渉を重ねていた。

 しかし、チームによれば結果的に起用に向けて動いていたドライバーのスケジュール調整がつかず、織戸がAドライバー、谷口がBドライバーで登録されたという。STOからも10日付けでブルテンが発行され、織戸に対してのAドライバーハンデキャップが公示された。今回のD’station Vantage GT8Rのハンデキャップは、90秒のピットストップだ。

 2023年のST-1クラスは2台の争いで、井田太陽/加藤寛規/高橋一穂/吉本大樹組シンティアム アップル KTMとのタイトル争いが続いており、シンティアム アップル KTMが今回は完走すればチャンピオンを獲得できるということもあり、90秒のハンデはシンティアム アップル KTMにかなり有利に働く可能性もある。

 とはいえ、織戸学/谷口信輝による、まさに“コンビ”での18年ぶりのレースになることがこれで確定となった。ふたりはともにこのレースを「楽しむ」と語っており、ハンデも意に介していない様子。ぜひその楽しむ様子をサーキットで観とどけたいところだ。

2023スーパー耐久第7戦富士 D’station Racingは今季初めての2台体制で臨む。
2023スーパー耐久第7戦富士 D’station Vantage GT8R(織戸学/谷口信輝)
2023スーパー耐久第7戦富士 D’station Vantage GT8R(織戸学/谷口信輝)

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