対北朝鮮、海空で補正支援 大和堆、小松基地に

  ●大和堆、漁業者向け20億円

  ●小松基地、格納庫改修6億円 

 政府が10日の臨時閣議で決定した今年度補正予算案で、石川の海と空の守りが強化される。水産庁は能登半島沖の大和(やまと)堆周辺などで違法操業する外国漁船対策費として20億円を計上。防衛省は航空自衛隊小松基地の格納庫改修に6億円を充てた。対北朝鮮など日本が取り巻く安全保障環境が厳しさを増す中、日本海側の防衛力を高める。

 水産庁が計上した対策費は、韓国や中国、北朝鮮の違法操業船の影響で経営に打撃を受けている漁業者を支援する経費となっている。外国漁船の操業状況の調査・監視や投棄された漁具を回収する漁業者に対し、基金から支援金を提供する。

 水産庁が大和堆で外国漁船に退去警告を出した隻数は、今年9月末時点で前年同期比27隻増の50隻となっている。同海域では武装した可能性のある北朝鮮公船とみられる船が航行しており、水産庁は能登町小木のイカ釣り船など日本漁船に延べ1カ月以上の操業自粛を要請している。漁業経営の安定に向け、今年度当初予算に続き、対策費を計上した。

  ●スクランブルに備え

 防衛省は、航空自衛隊小松基地でスクランブルを行う戦闘機を常時待機させる格納庫「アラートハンガー」4棟の改修費を盛り込んだ。この格納庫は老朽化が進んでおり、日本海側唯一の戦闘機部隊がある重要基地の機能を早期に強化するため、今年度補正予算案で対応した。

 防衛省によると、今年4~9月の小松基地を含む中部方面隊の緊急発進(スクランブル)は前年同期比17回増の26回となっている。全体では424回で、国別では中国304回、ロシア110回となっている。

 北朝鮮は弾道ミサイル発射を繰り返し、中国による台湾侵攻の懸念も増している。こうした中、小松基地は二つの飛行隊に配備しているF15を25年度以降、最新鋭ステルス戦闘機F35Aに移行する。

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