三重塔の彫刻間近に 茨城・桜川の薬王院 初層5年ぶり開帳 座禅体験も

三重塔の中で座禅を体験する参拝客=桜川市真壁町椎尾

茨城県桜川市真壁町椎尾の椎尾山薬王院で10日、県指定文化財の三重塔の初層正面を5年ぶりに特別開帳した。堂内に安置された釈迦如来像と普賢菩薩像を部屋の周囲に巡らされた回縁(まわりえん)からのぞいたり、塔に施された彫刻を間近に見たりできる。竹林史典住職(64)は「荘厳な彫刻を感じながらお参りしていただけたら幸い」と呼びかけている。

茨城デスティネーションキャンペーン(DC)の特別企画として、10~12、17~19日の間だけ実施する。三重塔は1704年、成田山新勝寺も手がけた桜井瀬左エ門安信を大工棟梁として建設された。

参拝客は、竹林俊充副住職(37)から説明を受けながら、麻や龍の彫刻に見入った。扉に施された三つ巴の装飾には、逆さになっているものがあり、竹林副住職は「棟梁はわざと不完全な装飾を残し、建物が末永く保たれることを祈ったのではないか」と説明した。

事前予約した参拝客は塔内に入り、仏像の前で約30分間座禅を体験した。同院初の試みで、予約に空きがない状態という。千葉県我孫子市から訪れた、川原のぞみさん(49)は「ろうそくの火と、扉の隙間から漏れる外の光が幻想的。あっという間だった」と話した。

© 株式会社茨城新聞社