横浜・南区のはんこ職人、1.5センチに込めるこだわり 親子二代で「マイスター」國峯さん

繊細な手つきで印刀を扱う横浜マイスターの國峯さん=横浜市南区の国峰印房

 横浜市営地下鉄の弘明寺駅近くに「横浜マイスター」の看板を掲げた印章店がある。国峰印房(同市南区)の2代目店主・國峯伸之さん(55)は“脱はんこ”時代にあっても「天才」と慕う父から受け継いだ技術を生かし、なじみ客や地域から信頼を集めている。

 同店は伸之さんの父・正美さん(故人)が1965年に創業。優れた技能職者を認定する「横浜マイスター」の初代マイスターに選ばれた正美さんの背中を追い、伸之さんも印章彫刻の道に進んだ。2015年には親子二代となる「横浜マイスター」に選ばれ、「父も喜んでくれているはず」と笑顔で振り返る。

 1円玉よりも小さい直径1.5センチの印鑑は完全手作りで、こだわりが詰まっている。10本以上の印刀を使い、文字のバランスから彫の深さまで、顧客の希望を忠実に再現する。大きめの実印などでは押印時の失敗を防ぐため中央部分がわずかに膨らむ工夫を施すといい、「小さなことだけれど、押しやすさに大きく影響するから」と目を細める。

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