岸田政権に減らしてほしい負担 3位医療保険料、2位所得税を抑えた圧倒的1位は?

止まらない物価の上昇。今年9月の実質賃金は、前年同月比2.4%減少し18カ月連続でマイナスとなった。

直近の物価高だけでなく、長年続く社会保険料の増加も重荷となっている。総務省の家計調査によると、二人以上勤労世帯の’00年における社会保険料の負担は48,019円だった一方、‘22年の社会保険料負担は67,175円と39%増加した。実収入も増えてはいるものの、税や保険料などの負担増によって増加の実感は得にくくなっているとみられる。

租税負担率と社会保障負担率を示す令和5年度の国民負担率は、46.8%となる見込みで、これは’00年の35.6%から10%以上増加した数字。そのうえ、現在「異次元の少子化対策」の財源として、社会保険料率の上乗せが検討されており、今後社会保険料負担はさらに増す可能性さえある。

そんななか岸田文雄首相(66)は、来年6月に1人当たり4万円の定額減税を行う方針を示した。しかし、世間の反応は芳しくない様子だ。では、庶民はいったいどの負担を減らしてほしいと感じているのか? そこで、身近な国税である所得税、相続税、贈与税、消費税、酒税、たばこ税、ガソリン税と社会保険料である年金保険料、医療保険料、介護保険料のうちどの負担を最も減らしてほしいかを、20代以上の1000人を対象に調査した。

3位に選ばれたのは医療保険料。高齢化や医療の高度化によって保険組合の支出が増えるなか、保険料負担も増加してきた。会社員は基本給に残業代や通勤手当などの諸手当を含めた支給額(額面給与)のおおむね8~10%を会社と折半して負担する。東京都の協会けんぽに加入する会社員の場合、額面給与が月40万円だとすると20500円が引かれる。

自営業者が加入する国民健康保険は特に財政状況が厳しく、’24年度からは年間保険料の上限を2万円引き上げて106万円とすることが発表された。また、後期高齢者医療制度の年間保険料も’24、’25年度にかけて全体平均で約5,200円引き上げられる。

調査では、現在医療サービスを受けていない人からの不公平感のほか、保険料の高さを嘆く声が聞こえてきた。

「他の税金は控除後の金額に税率を掛けているが、健康保険料は控除前の金額に税率を掛けているので、高すぎる」(埼玉県・自営業・50代)
「月々の給与から引かれるのが痛い」(埼玉県・会社員・20代)
「ほとんど医療費を使ってないので、利用者の負担割合を増やしてほしい」(広島県・専業主婦・60代)
「退職して全額負担しているので健康保険料の負担が一番重く感じる」(大阪府・無職・70歳以上)
「国民健康保険料の負担が、年収の1割を占めているから」(大阪府・パート・50代)

第2位に選ばれたのは所得税。課税対象額の増加に応じて、一定金額を超えた部分のみにより高い税率を課す「超過累進税率」が取り入れられている。来年6月には、所得税3万円の減税が行われる予定だ。

収入の高い層からの所得税負担の削減を求める声のほか、所得税に限らず社会保険料なども含めた多額が給与から控除され、手取り金額が少なくなることを嘆く声が多数見られた。

「最も税率が高い上に使い道がわからないので」(東京都・会社勤務、管理職・40代)
「手取りが少なくなりすぎている」(大阪府・公務員・20代)
「年金生活なので、所得税が少ないことがベスト消費税は購入を控えることで負担を減らしたい」(千葉県・無職・70歳以上)
「稼いでもザルのように抜けていっては労働意欲がなくなる」(兵庫県・公務員・60代)
「物価高騰で生活費の割合が増えた」(兵庫県・医師等医療系専門職・50代)
「賃上げしても、所得税と年金、健康保険で消える」(埼玉県・医師等医療系専門職・30代)

第1位に選ばれたのは消費税。得票数で、2位の所得税に2倍以上の差をつけた。社会保障の財源にするという名目で、’19年に税率8%から10%に引き上げられた。物価が上がるとともに負担が増えることから、今もっとも疎まれている税だろう。しかし、岸田首相は11月1日の参院予算委員会で「そもそも(消費税を)引き下げるということは考えておりません」ときっぱり断言している。

ふだんの買い物を楽にしてほしいとの声ほか、減税の実感が大きい事や、平等に減税されるという意見があがっていた。また、消費税をなくすことでお金のある人はより消費行動をとり経済をまわしてくれるのではないかという期待も寄せられた。

「レシートを見た時高くてびっくりするときがあり、なるべく買わないように我慢しようと思うことが多くなった」(岩手県・20代・会社員)
「誰でも減税するからです。貧困層対策にもなるからです」(埼玉県・パート・30代)
「物価高騰で家計が悲鳴を上げている」(神奈川県・専業主婦・60代)
「逆進性が高いうえに、個人消費を落ち込ませている主因だから」(千葉県・会社員・40代)
「減税が実感できるから」(兵庫県・会社員・40代)
「あらゆるモノやサービスが物価高で余計に高くなり、家計を圧迫していて困っているから」(埼玉県・専業主婦・70歳以上)
「誰もが払うものなので公平性がある」(京都府・パート・50代)
「みんなが平等に減税になるようにしてほしい。ただ低所得者にばら撒けばいいわけではないし、小さい子供がいる世代や母子家庭ばかりが優遇されるのもおかしい。みんな苦しいのは同じ」(神奈川県・専業主婦・40代)

【岸田政権に減らしてほしい負担ランキング 1~5位】

1位:消費税 479票
2位:所得税 200票
3位:医療保険料(国民健康保険、健康保険などの保険料) 79票
4位:ガソリン税 74票
5位:年金保険料(国民年金、厚生年金などの保険料) 61票

© 株式会社光文社