佐伯城「九州の近世山城跡の代表」 歴史研究第一人者の講演と見学会【大分県】

講演する【写真左】豊田寛三大分大・別府大名誉教授【写真中央】千田嘉博名古屋市立大教授【写真右】宮武正登佐賀大教授=佐伯市のさいき城山桜ホール
天守台へと続く廊下橋跡前で説明を受ける参加者=佐伯市の佐伯城跡
ひな壇状石垣の説明を受ける参加者

 【佐伯】国史跡に指定された佐伯城跡(佐伯市)の歴史的価値をアピールする講演会と現地見学会が今月上旬、同市であった。市歴史資料館が開催中の国指定記念特別展「どこがスゴイの?佐伯城」の関連イベント。市民や城愛好家らが参加し、近世の山城として評価される城の特徴や魅力を味わった。

 佐伯城は初代佐伯藩主の毛利高政が1602年に築城を始め、4年後に完成した。今年3月、国史跡に指定された。

 講演会は市内大手町のさいき城山桜ホールであり、市内外から集まった約600人が歴史研究・城郭研究の第一人者3人による解説に聞き入った。

 豊田寛三大分大・別府大名誉教授は築城に関する史料から「櫓(やぐら)門の建築に領民が大きく貢献した」、千田嘉博名古屋市立大教授は国内外の城跡の整備状況を紹介し「誰もが快適に訪れられる国史跡にふさわしい環境をつくり、日本の史跡整備の手本を示してほしい」、宮武正登佐賀大教授は城郭や石垣の構造などについて述べ「九州の近世山城跡の代表だ」と力説した。

 現地見学会は城山周辺であり、約60人が参加。同資料館学芸員から説明を受けながら、2班に分かれて三の丸の櫓門から山上へ向かった。

 狭い土地の有効活用が分かる二の丸のくの字型虎口(こぐち)、当時の河川土木技術を用いたひな壇状石垣、水の確保や雨水調節用に造られた人工池などを見学。山城ならではの工夫と技術を学んだ。

 汗ばむほどの陽気となったが、参加者は元気いっぱい。本丸外曲輪(くるわ)からの眺望などを楽しみながら、約2時間の山城見学を満喫した。

© 有限会社大分合同新聞社