「三つ葉」のソースが最高賞 兵庫・赤穂の農家開発「『彩りの野菜』イメージ覆したかった」 西播磨フードセレクション、鮮やかな緑色と優しい風味評価 

栽培する三つ葉を使ったソースで、西播磨フードセレクションの最高賞に輝いた鍋島晴美さん=赤穂市中広

 兵庫県西播磨の農林水産物を使った加工食品のコンテスト「西播磨フードセレクション2023」で、香味野菜の三つ葉の栽培農家「なべしまファーム」(同県赤穂市中広)による「みつ葉のジェノベーゼソース」が、グランプリを受賞した。三つ葉をふんだんに使った鮮やかな緑色の見た目と優しい風味が、審査員の心をつかんだ。(小谷千穂)

 同セレクションは2012年から毎年、西播磨県民局と管内4市3町などでつくる実行委員会が主催する。今回は13件の応募があり、味や個性、安心・安全の観点で審査され、グランプリ1点と金賞3点が選ばれた。8月31日の本審査会に先立ち、今回初めて一般の審査員約40人による1次審査もあった。

 三つ葉のソースは、同ファームの運営を担う鍋島晴美さん(57)が地元の仲間たちと協力し、2年以上試作を続けて考案した。食の洋風化や、新型コロナ禍での旅館の苦境で三つ葉の需要は減少。売れ残りや規格外が多く廃棄されていた状況を打開しようと、新たな食べ方を模索した。

 ポイントは鮮やかな色合いと、クセのないほのかな三つ葉の香り。バジルより風味の主張が少ないため、通常のジェノベーゼソースのレシピより三つ葉ペーストの分量を増やし、オイルを少なくして素材の風味を生かした。赤穂産の塩も使っている。

 パスタやピザといった定番メニューのほか、肉や魚、パンに付けたり、卵焼きやご飯に混ぜたりと、レシピは無限に広がるという。「茶わん蒸しやお吸い物に入れるだけの『彩りの野菜』と思われているのを覆したかった」と鍋島さん。一般審査員からも絶賛の声が届き、「認めてもらえてうれしい。三つ葉の魅力をもっと広めたい」と喜んだ。

 農園の直売店で購入できるが、SNSか電話で事前の問い合わせが必要。100グラム700円。なべしまファームTEL090.3996.9712

 コンテストの金賞は次の通り。

 焼き芋けんぴ=NPO法人いねいぶる(たつの市)▽MOTOモスト=MOTO(上郡町)▽はじまり漬=はじまり工房けんさん(宍粟市)

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 同県民局は、受賞食品を購入して写真投稿アプリ「インスタグラム」に感想などを投稿した人に、プレゼントが当たるキャンペーンを実施している。来年1月31日まで。同県民局農政振興第1課TEL0791.58.2194

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