使用済み核燃料に課税 茨城県が条例案提出へ

茨城県庁=水戸市笠原町

茨城県は、原子炉施設で保管されている使用済み核燃料を新たに課税対象に加える条例案を、12月の県議会定例会に提案する方針を固めた。関係者への取材で10日、分かった。原子力事業者を対象としたこれまでの課税の適用期間が2024年3月で終了することから、安全対策や避難計画策定など財政需要に応じた負担を求める考え。

県内では、主に東海第2原発や研究用の原子炉が設置されている。関係者によると、新たな条例案は、原子力事業者に対し、施設内に保管される使用済み核燃料の重量に応じて税を課す。原子炉の出力に応じた税率も見直し、現行税率から1%相当引き上げる項目も盛り込む。

新たな課税により、24~28年度の5年間で118億円の税収を見込む。現行では19~23年度の5年間で62億円の見通しのため、2倍近い税収増となる見込み。緊急避難用の道路整備など安全対策を含む関係費用に今後5年間で214億円かかるとみており、新たな税収を充てたい考え。

県は使用済み核燃料に課税することにより、県内保管の長期化を抑え、県外搬出の促進などを視野に入れる。

今後、県は事業者への意見聞き取りも予定している。地方税法では、法定外普通税適用には総務大臣の同意が求められており、県議会での可決に加え、総務省の同意を得る必要がある。

県は原子力施設の立地に伴う安全対策など財政措置に対応するため、原子力事業者に課税する条例を1999年度に制定。県独自の法定外普通税「県核燃料等取扱税」として、熱出力に応じた原子炉設置や再処理事業者が保管する使用済み核燃料などに課税してきた。5年ごとに更新し、本年度で5期目の適用期間を終える。

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