せき止め薬不足で薬局処方に苦慮 県内でインフルエンザ早くも流行期 学校現場にも影響

入荷未定と書かれた赤い札が目立つ薬局の棚=10日午前、小山市羽川

 インフルエンザが例年より早く流行期に入り、栃木県内でも各所に影響が及んでいる。薬局ではせき止めを中心に関連の薬が不足し、処方に苦慮している。学校現場でも早く休業が始まり、給食で児童が向き合わないようにするなどの対策を取る。流行が長引く恐れはあり、授業スケジュールに懸念も。介護施設では新型コロナウイルスと同様に感染を警戒、引き続き対策に神経をとがらせている。

 10日午前、小山市の「フレンド 羽川薬局」。せき止め薬の棚には「入荷未定」との札が掛かる。入荷しづらくなったのはインフル患者が増え始めた9月下旬から。薬局の古木美佑(ふるきみゆ)管理薬剤師(32)は「薬が決定的に不足すれば困るのは患者さん。地元の薬局としてできることをやるしかない」と在庫管理などに苦心する。

 県薬剤師会によると、せき止め薬のほか、新型コロナとインフルを同時に検査できるキットが全国的に品薄という。

 例年は12月から流行入りするインフル。今季は8月末から続き、11月2日には1医療機関当たりの患者(10月23〜29日)が10人を超え、県は今季初の流行注意報を出した。発令は統計開始以降、2009年と並び最も早い。

 学校現場では今季、9月4日から公立学校のインフル休業措置が始まった。県教委は「流行が長引くことで、授業スケジュールの変更など現場に混乱が出るかもしれない」と懸念する。

 宇都宮大共同教育学部付属小は10月中旬に学級休業があった。給食をグループで向き合って取るのをやめたり、他学年との交流を減らしたり感染拡大防止に努めた。同校は「基本的な対策に取り組むしかない」と気を引き締める。

 大田原市北金丸の特別養護老人ホーム「おおたわら風花苑」では、新型コロナの5類に移行した5月以降も、感染症対策を継続している。益子雅明(ましこまさあき)施設長(64)は「(高齢者が)インフルにかかると、コロナと同じくらい症状が重くなることもある。同等の対策が必要だ」と強調した。

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