沖縄で自衛隊最大規模の演習開始 公道や港など使用 市民らゲート前で訓練に抗議

中城湾港から公道に出る自衛隊車両=10日午前9時59分、うるま市・同港新港地区東ふ頭前(小宮健撮影)

 自衛隊最大規模の訓練「2023年度自衛隊統合演習」が10日始まった。防衛省が借り上げた民間船「はくおう」は同日午前7時ごろ、沖縄市の中城湾港に接岸。船を降りた陸自の部隊や車両などが県内の自衛隊施設へ展開した。現場では、市民らが港のゲート前に座り込むなどして訓練に抗議した。

 玉城デニー知事は10日の定例記者会見で、統合演習の必要性について「県として認めている」との見解を示した。民港や公道を使うことで生じる生活への影響などには懸念を示し「演習の状況を注視していく」と述べた。

 防衛省統合幕僚監部によると、民間船で輸送したのは隊員約180人と車両約50台。10日午前9時55分ごろ、自衛隊車両は港を出発し、陸自那覇駐屯地、勝連分屯地、海自沖縄基地などへ公道を走行して移動した。

 県内では16式機動戦闘車(MCV)が11日未明、訓練のための移動で那覇市内の公道を一時横断する予定。MCVが沖縄本島で自衛隊施設外に出るのは初めて。空自那覇基地から陸自那覇訓練場に移動し、基地警備訓練に加わる。

 12日には与那国町主催の防災訓練と連携し、救助が必要な住民の搬送に自衛隊のヘリコプターや輸送艦を使う。離島防衛専門部隊「水陸機動団」も加わる。

 15日には那覇基地で、滑走路が攻撃を受けた場合などを想定し、陸自と空自の部隊が共同で滑走路を復旧する訓練がある。

(東京報道部・新垣卓也、中部報道部・又吉朝香、政経部・山城響)

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