WHOテドロス事務局長「ガザ地区では10分に1人子どもが殺害されている」

 10日開催された国連の安全保障理事会にWHO(世界保健機関)のテドロス事務局長が招かれ、ガザ地区の現状について証言した。同地区にある病院のうち半数以上が機能しておらず完全に医療崩壊していると報告し、即時停戦を実現するよう理事各国に訴えた。

「1万人以上が殺害され、約7割が女性と子ども」

 同氏が報告したところによると、ガザ地区ではこれまで1万800人以上が殺害され、そのうち7割近くが女性と子どもであり「10分に1人、子どもが殺害されている」と深刻な危機であることを報告した。

 また36カ所ある同地区の病院のうち半数以上が、イスラエル軍の250回以上にわたる攻撃により機能しておらず、機能している病院に患者が集中しており、瀕死の負傷者であふれ、麻酔なしの手術が行われるなど医療崩壊していると述べた。被害は国連職員にも及んでおり、10月7日以降、100人以上の職員が殺害されているという。

 同氏はこの事態を打開するために、即時停戦と緊急人道支援の実施を理事国に訴え、行動を求めた。同氏は元エチオピア外相だが、自身の経験を振り返りながら「自分が子どもの時も、大人になってからも戦争を目の当たりにした。ガザ地区の人々がいま経験している苦しみと恐怖はよく理解できる」とし、このような状況になっても実効力のある決定ができない安保理は「当初の目的を果たしておらず21世紀にそぐわない」と痛烈に批判。安保理改革の必要性を訴えた。

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