女性だまされ、逮捕された詐欺師25人…「かけ場」アパートで塊を発見 水に溶けるメモ紙にターゲット情報を書き込んで活用、証拠消すため溶かし塊と化していた 100台超の携帯電話やPC押収、破壊された端末も 逃げた3人の誰かが指示役か

カンボジア詐欺拠点から水溶性メモ 隠滅を図ったか

 カンボジアの首都プノンペンを拠点に特殊詐欺の電話をかけていた日本人の男25人が逮捕された事件で、グループが「かけ場」として使っていたアパート内から大量の犯行メモなどが見つかっていたことが10日、埼玉県警への取材で分かった。一部のメモは水溶紙で、溶けて塊のようになっていたという。合同捜査本部は男らが証拠隠滅を図ったとみて、経緯を詳しく調べている。

 犯行メモは被害者の氏名や電話番号、家族構成、仕事、口座の数などを記入できる欄が印字されているフォーマット用紙で、対象者から必要な情報を聞き出していたとみられる。実際に書き込んである紙もあったという。犯行の発覚を恐れ、水に溶かして処分していた可能性が高い。「かけ場」からは氏名、住所、電話番号や西暦とみられる4桁の数字が記された名簿も見つかった。数字は対象となった高齢者の生年月日とみられる。作成された経緯や実際に犯行に利用したかなどを明らかにしていく。

 このほか、県警は100台を超える携帯電話やノートパソコン数台なども押収。携帯電話は正常に起動するもの以外に、破壊されているものもあったという。

 男25人の逮捕容疑は、氏名不詳者と共謀の上、今年8~9月、カンボジアから札幌市の女性=当時(70)=に介護施設運営会社社員などを装い「優先入居権が当たった」などと電話し、女性から名義貸しトラブルの解決金名目で現金45万円と電子マネー5万円分をだまし取ったなどの疑い。

 捜査関係者によると、9月に現地警察が25人を拘束した際にアパートから逃亡した男3人の中に指示役がいるとみて捜査している。逃げている日本人が使っていたとみられる部屋からは逮捕された25人のパスポートの一部が発見されていて、男らが「かけ子」を管理していた可能性を視野に組織の実態解明を進める。

 同本部は10日午前、詐欺と詐欺未遂の容疑で住居、職業不詳の20~42歳の男25人をさいたま地検に送検した。

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