【編集長の独り言】いちメディアの立場からプレスリリースについて考える

ゲーム総合情報サイト「Gamer」の編集長をしているTOKENと申します。当欄でいつかお話する機会もあるかもしれませんが、サイトの立ち上げから関わり続け、紆余曲折あって2023年4月より編集長に就任しております。

もともと編集部内で編集部が遊んだゲームという週末企画を実施していましたが、私は特にプレイしているゲームに偏りがあって毎回取り上げるのも難しいなと感じていました。そんな流れもあってそちらは一旦お休みしまして、変わりにその時に考えていることを軽くお伝えするような場があっても良いのかなと思いました。

完全に手探りな感じで、かつあくまで個人の私感ですので参考程度に読んでいただけますと幸いです。

■ゲーム業界におけるプレスリリースの立ち位置

初回なので業界ニュースも検討していたのですが、当欄ではメディアサイドとして何を考えているのかについてもお伝えする場にしたいということで、今回はメディアがニュースソースのひとつとして活用するプレスリリースについて書いていこうと思います。業界やメディアの種別でその方向性も変わってきますので、今回はあくまでゲーム業界におけるプレスリリースのポジションについて考えていこうと思います。

メディアがほぼ横並びで情報を発信する際、プレスリリースをもとにした記事化であることが多いです。基本的には受付先のメールアドレス宛に届いたものを編集部側で確認し、記事化できるものであれば取り上げる、という流れとなります。

ここまでは業界外含めても比較的変わらない部分にはなると思いますが、ゲーム業界が特異な点は対象となるプロダクトの多さと、多岐にわたるカテゴリ分布です。

プロダクトはざっくりと括るとゲームタイトルになりますが、国内外のパブリッシャーがリリースするタイトルはSteamやモバイルでのリリースも含めれば月単位でも膨大な数になっていきます。その中でタイトルの情報を把握するというのはなかなかに難しく、プレスリリースの形式で届いたものを優先的に検討していくことになります。

また、ゲームと一口に言ってもコンソール、モバイルといったデバイスの違いをはじめ、オンラインゲーム、アーケードゲーム、VRゲーム、アナログゲーム……といった具合にそれぞれに文化の異なる領域が出てきます。これらのカテゴライズを理解するというのは日頃情報に触れている我々としてもそう簡単ではありません。

おおよそまとめると上記の通りですが、取り上げる際に考えるのはメディアとしての意義、そしてPVに代表される数字です。これは両立するのが難しい領域であり、実際に意義を数字が上回ることも多々あります。メディアの記事を読んでいる方もそう感じる瞬間はどこかで出てくるでしょう。

ちなみに、Gamerはプレスリリースを取り上げる量がかなり多いメディアです。それ自体は良い側面もそうでない側面もありますが、プレスリリースの発信元、読者のどちらにも目を向けるという点でさまざまに問題が出てきます。

発信元サイドで言うと、情報の要点が理解しづらかったり、そもそも第三者に送る上で整理されていないといったものも数多く見受けられます。上記でも触れた通り、そもそも膨大な量のリリースを抱え込むことになるので、伝えたい内容が整理された情報を発信するというのは掲載を判断する上でとても大事です。

また、SNSの発達によって公式が発信しやすくなったこともあり、プレスリリースの発信と同時にSNSで情報を開示するというのも比較的当たり前になってきました。ただ、プレスリリースとSNSでの発信は全く一致するものでは無いので、プレスリリースからの記事化が先行する場合があります。公式より先に発信することへのコメントを時折見かけますが、SNSが発達していなかった時代においてはむしろそれが普通で、時代の変遷を感じます。

プレスリリースはそのプロダクトにとって波及効果があるものを目指すべきですが、正直なところ送ることが目的で、手段として活用できていないケースは多々見受けられます。我々としてはでき得る限り、読者に有用だったり、ニュースバリューのあるものを届けられるよう、引き続き判断していければと思います。


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