児童の面接は複数の職員で わいせつ事件受け 沖縄県が再発防止策

 児童福祉司の立場を利用し支援対象の女児にわいせつな行為をしたとして児童相談所の元沖縄県職員が有罪となったことを受け、玉城デニー知事は10日の定例記者会見で再発防止策を発表した。複数職員での面接を基本とするほか、児童心理司を増員するなどチームで対応する態勢を強化する。(社会部・下里潤)

 事件を検証した結果、児童面接時に職員によるわいせつ行為があり得るという認識が欠如していたと指摘。複数職員での面接を基本とし、わいせつ目的で子どもを手なずける「グルーミング」につながる言動がないかチェックする。犯行の様子を携帯電話で撮影していたことを踏まえ、緊急時などを除いて私物の携帯電話を使用しないことも定めた。

 面接の頻度など元職員の判断で支援が実施されたことも問題視。職員単独ではなく、児童心理司らを増員するなどチームで対応する仕組みを構築する。面接記録も不十分だったため、情報通信技術(ICT)を活用して履歴のチェックや業務管理の効率化を図る。

 支援対象の子どもには「こどもの権利ノート(仮称)」を配布して啓発に取り組む。子どもが不快に感じた場合、児相以外の第三者に相談できるよう連絡先を記したカードも配布する。

 再発防止の進展状況については定期的に社会福祉審議会に報告し、改善につなげる。来年度からは第三者評価制度も実施し、業務運営が適切に実施されているかチェックする。

 玉城知事は会見で被害者らに改めて謝罪し「同様の事案を二度と起こさないよう、職員の意識をより一層高めていく。児童虐待の相談対応件数が過去最多を更新している状況もあり、職員の増員も図りたい」と説明した。宮平道子子ども生活福祉部長も「県民の信頼回復に努める」と話した。

(資料写真)沖縄県庁
元児相職員わいせつ事件の再発防止策の主な内容

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