クマの目撃相次ぐ②「市街地近くまで来ても不思議でない」 老人ホーム近くでも目撃 /ニュースの現場

伊地健治アナウンサー(9日):「JR静岡駅前から車で30分ちょっと来たところです。静岡市葵区水見色です。山裾に老人ホームがありまして、この先で今週クマの目撃情報がありました。きょうは県の委託を請けて、鳥獣保護管理員をしていらっしゃる栗山さん。井川地区で鳥獣保護をされているそうなんですけれども、栗山さんとともにその現場近くを行ってみたいと思います。栗山さんお願いします」

伊地アナ:「はい、この先ということなんですよね。水見色という地区。市街地からも車で30分ちょっとのところなんですけど、どうなんでしょう?この辺りでクマが出るっていうのは」

鳥獣保護管理員 栗山徹さん:「可能性はありますよね。やっぱりエサ不足なもんですから、今年は。農作物とか、こういう柿とかある所はどうしてもエサを探してきますので」

クマの目撃情報があったのは、茶畑などが広がる静岡市葵区の山間部。市によると、7日午後1時半ごろ、この地区にある、特別養護老人ホームの北西付近で、「クマを見た」と通報があったということです。

伊地アナ:「ありました。あそこに。クマ出没注意の看板です。ここまだ周りに家がありますけど、本当この辺りに出たってことなんですかね?」

栗山徹さん:「そうですね、クマはどんなところも入ってきますので、大胆ですから。結構、家のそばまで来ますね。梅ケ島とかの方ではだいぶ騒ぎましたね。家の中に入って。冷蔵庫を開けたり」

これは2020年9月に静岡市葵区梅ヶ島の住宅で撮影されたツキノワグマの映像です。飼い猫のキャットフードを食べ、家の中の冷蔵庫を漁っていたといいます。

木の実や山菜が収穫期を迎える今は、冬眠を控えるクマにとって重要な時期。脂肪を蓄えようと活発に行動する期間ですが、今年は全国的にえさとなるナラやブナの実が不作で、食べ物を求めて人里に降りてくるとみられています。

伊地アナ:「水見色地区を山の方に登ってきました。もう民家はこの辺りはないんですけれども、さらに奥の方に茶畑が広がっています。この場所で今月7日、クマが見つかったということです。こちらです。ちょっと横に水路がありまして、その水路に向かう小道。橋がかかっていますけれども、この辺まで来た作業員の方があちら側、水路の中にいるクマらしき動物を目撃したということなんです」

市によると、目撃されたクマのような動物は、体長1m20cm~1m50cmほど。目撃した作業員は、当時上流に向かって川を上っていたところ、1度クマのような動物と目が合い、その後、山の方へ逃げ去ったということです。市はクマの可能性が高いとみて、目撃されたその日に周辺を捜索していますが、痕跡などを見つけることはできなかったということです。

地域住民も困惑

突然のクマの目撃情報に市民は困惑しています。

静岡市民:「この老人ホームの上あたりでクマが目撃されたということで、ちょっと怖いなと思っていた」

Q.やはり怖さは感じた?
A.「そりゃやっぱり。(クマで)亡くなったニュースもずっとやっているから怖いなと思って。だから後ろを時折気にしたりしている」

県によると水見色地区はクマの生息確認地域とされていますが、住民によるとクマの目撃情報はほとんどないといいます。

伊地アナ:「今週ここでクマとみられる動物が目撃された。その場所というのが、今この水の流れていない川なんですけど、この中にいたそうなんですよね。そこからどんなことが考えられますか」

栗山さん:「こういったところに昆虫とかですね、昆虫もクマ食べるんですね。サワガニとか。石を動かすと中に虫がいるものですから。それをとるんですね。日本の大型哺乳類の中で、母性本能が強いのはクマなんですよ。子グマがいると人間を威嚇して、それから子グマを連れて逃げる」

「静岡県の山はつながっている。市街地まで来ても不思議でない」

またエサ不足の現状について、静岡県の状況を聞くと…。

静岡県森林・林業研究センター 大橋正孝さん:「全国的に言えば、東北の地域ってブナやミズナラといったものが不作で、(クマの)出没が多くなっていると言われてまして。静岡はブナやミズナラに依存しているクマはそんなに多くないと思えるわけですけど。出没、目撃が多いということは、やはりエサ不足でそうしたことが起きていると考えられる。そうしたドングリがなる山というのは、標高1000mよりも高い所が主体になると考えられる。山自体がつながっているところについては海側まで。薩埵峠でも確認されているんですが、航空写真で見ると静岡の山は割と木でつながっているところが多い。出没する可能性はある。例えば静岡浅間神社。そちらについても山が奥の方からずっとつながってきているところですから、ひょっとしたら市街地近くまでクマが来ても不思議ではない」

「明け方や夜間はなるべく避けて」

紅葉シーズンが本格化する中、どんなことに気を付ければいいのでしょうか。

県森林・林業研究センター 大橋正孝さん:「薄明薄暮、明け方前後であったりとか、あるいは日没がクマが活発に動く時間。もちろん日中よりは夜間の方が動きますので、そうした時間帯を避けていただく、薄暗くなってからの時間帯を避けていただくことが必要」

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