「さいはて」アート惜しむ人波 奥能登芸術祭、12日限り

波打ち際に立つ作品「自身への扉」を写真に収める来場者=珠洲市馬緤町

  ●50日間で累計4万9500人

 珠洲市全域を会場とした奥能登国際芸術祭2023(北國新聞社特別協力)は12日、51日間の会期を終える。最後の週末となった11日も県内外から多くの鑑賞者が能登半島「さいはて」の地を訪れ、人々の営みや自然を斬新に捉えた現代アートを巡り、名残を惜しんだ。9月23日の開幕から50日目の11日、鑑賞に訪れた人は累計約4万9500人に達した。

 能登外浦・馬緤(まつなぎ)町の波打ち際に設営された「自身への扉」では、スマホをかざし、思い思いに作品を動画や写真に収める来場者の姿が多く見られた。

 見附(みつけ)島(珠洲市)の脇に立つ鳥居をモチーフにした高さ約4メートルの作品は、光を反射する素材「スパンコール」で全体を覆い、作品自体が光を放つ仕組み。日本海に吹く風の動きを可視化しており、東京から友人と訪れた青山学院大4年の巣内(すない)まあやさん(23)は「自然を生かしたアイデアが面白い」と目を見張った。

 9日から市内を回っている横浜市の会社員岡田佳英さん(65)は「もうすぐ会期末になるのは寂しい。できるだけ多くの作品を写真に収めたい」と語り、能登の風景と溶け合う現代アートを目に焼き付けた。

 今回で3回目の芸術祭は最大震度6強の揺れを観測した、5月の奥能登地震からの「復興への光」を掲げ、14カ国・地域のアーティスト59組が参加。屋内外での作品展示をはじめ、朗読劇やコンサート、パフォーマンスなどが市内各地で繰り広げられた。

 12日の閉幕後、新規作品の一部は常設展示に切り替わる。

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