クマ対策後「お裾分け」 砺波・庄川図書館に甘柿

利用者にお裾分けされている大量の甘柿=砺波市の庄川図書館

  ●収穫の住民持ち寄り、利用者に配布 大量の食品ロス防止に

 砺波市庄川図書館に11日までに、利用者から大量のカキが贈られた。庄川地域でもクマの目撃情報が相次ぐ中、住民が出没の誘因となるカキの実を大量に収穫して処分しきれずに困ったため。クマ対策の「副産物」で食品ロスを防ぐために届けられた贈り物は利用者に配られて喜ばれている。富山県内でクマ騒動に揺れる中、自然豊かな地域の図書館を舞台にした「お裾分け」が評判になっている。

 カキを届けたのは砺波市庄川町金屋の主婦(65)で、8日に甘柿約200個、9日に約120個をそれぞれ庄川図書館に贈った。

 県内で今秋、クマの出没が相次ぎ、県や自治体がクマの誘因となるカキの実を取るよう呼び掛ける中、主婦も畑に植えたカキの木にたわわに実った甘柿などの収穫を急いだ。家族によると、カキの実が木に残っていると近所の視線が気になり、いち早く実をもぎ取ったという。

 甘柿は近所や知人らに配ったが、それでも大量のカキを処分しきれずに困った。「捨てるのはもったいない」として、日頃利用している庄川図書館に話を持ち掛けたところ、図書館は歓迎。8日に館内の受付カウンター近くに甘柿を入れたかごを置き、配布を始めたところ、喜んで甘柿を持ち帰る利用者が相次いだ。最初に贈られた甘柿が少なくなったため、主婦は9日も追加で届けた。

 庄川図書館はこれまでにも住民から贈られたユズや野菜のほか、敷地内のカリンの木になった実などを利用者に「お裾分け」しており、その都度、ユズやカリンの栽培方法など関連本を紹介している。田島寛館長は「ご近所付き合いの関係のここだからこそできる。住民に関心を持ってもらい、図書館に足を運んでもらうきっかけになれば」と話す。

  ●「お互いに助かった」

 カキを届けた主婦も「本当にクマが来たら困るので早めにカキをたくさん取ったが、処分しきれなかったので、図書館も喜んでくれてお互いに助かった」と語った。

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