Ryuk身代金の資金洗浄やオリガルヒの資産移動でOFACがロシア人を制裁

米財務省外国資産管理局(OFAC)は、Ryukランサムウェアのサイバー犯罪グループやロシアの富裕層であるオリガルヒのために仮想通貨の資金洗浄や資金移動を仲介していたとして37歳のロシア国籍の女性を制裁対象に追加したことを明らかにした。

OFACが新たに制裁指定したのはロシア国籍のエカテリーナ・ジダノワ氏。OFACは2022年2月のロシアによるウクライナへの軍事侵攻を受けてロシアの金融システムに対して経済制裁を課しており、またロシアの仮想通貨取引所Garantex Europe OU(Garantex)に対してはロシア連邦経済の金融サービス部門で事業を行っている、もしくは行っていたとして2022年に制裁指定しているが、ジダノワ氏はGarantexや世界にオフィスを置く高級時計の会社などを通じて国際金融システムにアクセスし、マネーロンダリングや資金移動のための活動をしているという。

ジダノワ氏が関与した資金洗浄や資金移動にはRyukランサムウェアの関連会社も含まれており、2021年にはRyukランサムウェアの被害者から支払われたとみられる230万ドル以上の資金洗浄を仲介したものとみられている。また、ジダノワ氏はクライアントに代わって1億ドル以上の資産をアラブ首長国連邦に移し、アラブ首長国連邦の税務居住サービスを利用してクライアントにアラブ首長国連邦の税務上の居住地と身分証明書、銀行口座を提供したという。

ブロックチェーン分析会社のチェイナリシスによると、ジダノワ氏はAML/CFT(マネーロンダリング対策/テロ資金供与対策) 規制を行っていないGarantexをはじめとした暗号資産のためのプラットフォームを利用して資金を送金していたほか、他のマネーロンダリング業者とのつながりを活用して高級時計の会社と接点をもち、伝統的で高級なビジネスのコネクションを通じて他国の金融システムにもアクセスしているようだ。

ジダノワ氏がどのような人物なのか不明だが、チェイナリシスがジダノワ氏のメールアドレスから検索したネットのページはモスクワの地下鉄駅近くのホテルのページで、ホテルを紹介する文章の中でエカテリーナ・ジダノワ氏をオーナーと記していることから事業家のようであるが詳細は不明。

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