5歳死亡…母親に暴行するよう指示した女「相撲取ったら」 内縁の夫にも指示、投げ飛ばされた5歳…後頭部ぶつけて息を引き取る 法廷で女「私は一切手を出していない」 夫、女の指示なく暴行することは「あり得ない」

さいたま地方裁判所=埼玉県さいたま市浦和区高砂

 昨年1月、埼玉県本庄市の住宅で当時5歳の男児を暴行し死亡させ、遺体を床下に遺棄したなどとして、傷害致死や死体遺棄などの罪に問われた同居人の女(56)の裁判員裁判の第2、3回公判が9、10日、さいたま地裁(北村和裁判長)で開かれ、男児の母親(32)=同罪などで懲役10年、控訴=ら2人が証人として出廷。2人は男児が死亡した直前の暴行について、「相撲取ったら」などと女からの指示があったと証言した。

 母親と、その同居人で女と内縁関係にあった男(36)=傷害致死罪などで懲役12年、控訴=に言い渡された1審判決によると、2人は昨年1月18日に本庄市内の住宅内で母親の長男を投げ倒すなどの暴行を加えて死亡させたとされる。

 母親と男は死亡に至った暴行について、女に指示されたと証言。母親は女に「相撲取ったら」と男児に暴行するように促されたとし、男も同様のことを言われたとした上で、女に指示されずに暴行することは「あり得ない」とした。

 致命傷となったのは、男が男児を投げ飛ばした際に男児が後頭部を強打したことによるものだった。一連の暴行について、女は初公判で「一切手を出していない」などとし、傷害致死罪を否認。一方、母親は「直接の原因が私かどうかは分からないが、関わりがないわけではない」とし、その場にいながらも関与を認めない女を意識したような発言もあった。

 起訴状などによると、女は母親、男と共謀の上、昨年1月18日、本庄市内の住宅内で母親の長男に投げ倒すなどの暴行を加えて死亡させた上、翌19日、住宅の床下に穴を掘り遺体を埋めて遺棄。また、同居の高齢女性が亡くなったことを隠して、2017年12月から昨年2月15日までの間、複数回にわたり老齢基礎年金など計約1154万円をだまし取ったなどとされる。

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