なぜ佐藤恵允はJリーグを経ずにブレーメンに移籍したのか 明治大学の栗田監督が説明「Jリーグの皆さんには本当に失礼な対応だったと」「国内なら消えていっちゃうかな」

この夏に明治大学を退部して、ブレーメンに移籍した佐藤恵允(けいん)。

彼はコロンビア人の父と日本人の母を持つ22歳のアタッカーだ。

明治大学体育会サッカー部で彼を育てた栗田大輔監督がPIVOTのYouTubeチャンネルに出演して興味深い話をしていた。

栗田監督は清水建設の部長職と明治大学のサッカー部監督を兼任するなど異色の経歴を持つ(2022年に清水建設は退職)。

佐藤がJリーグを経ずに海外へ移籍したことなどについてはこう話していた。

人によると思うんですよね。恵允という人物が海外向きだなというのがひとつ。

お父さんがコロンビアでお母さんが日本人なんですけど、まず英語が堪能。ドイツはドイツ語ですけど、英語も話すし。

そういう意味では、よく日本人が海外の方と接した時に怯むものが何もないので。そういうコミュニケーションスキルがあるっていうのと、あと性格的にも。

高校時代にそんなに有名な選手じゃないんですよ。代表歴があるとか選抜歴 があるとかじゃなくて。

たまたま明治で練習試合を実践学園(高校)さんとやった時に面白いなと思って。明大の中でも特別な手続きをして入ったんですけれど。

そっからの伸び率とか吸収力とか、敵がでかくなると立ち向かってそれを自分のものにするタイプの人っているじゃないですか。

どんどんどんどん臆さずににそういうものを見てきたから、これはもしかしてパッションもあるから海外向きかなと。

ただ1年生で入ってきた頃は恵允ってちょっと周りに圧倒されていて。本人の能力を出す前ちょっと怯んでいたところが一番初めはあったんですね。

そういう手続きを僕が苦労して推薦あげて取った選手で。その時に彼に一喝して、君は何しに明治に来たんだと、君の大きい目標って何なんだと。

要は日常の中で顔が見えない、もっと顔を見せろと。要は心というかって言った時に、自分の目標はプレミアリーグが好きで、プレミアでやりたいです、行ってみたいですと。

じゃあそれに純粋に向き合えばいいんじゃないのというところが1年生でちょっと記憶に残っていて。

で3年生の秋口ぐらいに彼と会話した時、やっぱり海外でプレミアとかそういうのがまだ目標にありますと。

その頃、U-22の代表も多少呼ばれてたから、結果も出してましたし。これはもしかして、ちょっと挑戦させる価値はあるかなと。

当然、国内のJリーグのチームさんからも練習参加してくださいとか、興味があるっていう話はいだいてたんですけど。

どっか1個(1チーム)に行くことになるとそれで噂が立っちゃうし、駆け引きも始まっちゃうし、雑念が入ってきちゃうんで、雑音が。

だから、ちょっとJリーグの皆さんには本当に失礼な対応だったと思うんですけど、 今回はちょっとノーコメントにさせてくださいっていうのをずっと貫いていて。

粛々とそういう当たりがあるかどうかはパートナーの方をひとり置いてやった時に何チームか来て、たまたま練習参加したのがそのブレーメンだったんですけど。

その時も評価がまあまあ良かったのと、その後、4月あたりでしたかね、ヨーロッパ遠征した時に向こうも見に来てくれて。6月ぐらいにオファーをいただいたとそんな流れなんで。

恵允については本当に能力的にもどちらかと個人の特徴がある選手で。もう本当ゴリゴリのパワー系なんですよ。

運動量があってあの前線のチェイシングもかけれるしという中で、課題は逆にちょっと上手さがなかったり、オフザボールの時のポジショニングがちょっとちょっと悪かったりってのは、まだまだ課題であるんですけど。

もしかして、国内だと逆にサブとかその上手くない場所がネックになっちゃって消えてっちゃうかなっていうのもなんとなくあって。

海外だったらもう本当に個人の力で勝負できるし。逆にどんどん吸収するタイプだから、もしかしてそういうもの吸収してっちゃうかなと。

もっと言えば、結果で覆していくタイプっていうか。多少下手だなと思ってもまた点とったよとか、そういう力を持ってたんで。本人ともよく話をしながら進めたっていうね。

Jリーグよりも海外向きなタイプということも大きかったようだ。

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また、栗田監督は若い選手のなかでJリーグの魅力が下がっているのではという問いには、それよりも世界との距離が近くなった、海外でチャレンジしようという気持ちを抱きやすいということの方が大きいのではなどと答えていた。

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