犬を抱っこ中に落としてしまった時に確認すべき3つのこと 「他人事じゃない」「リスクも考えよう」

1.足腰に怪我がないか

犬を抱っこ中に落としてしまった時、まず第一に確認したいのが足腰の怪我です。

犬を人間の胸の高さで抱っこしている場合、犬の体高を考えるとかなりの高さから落下させることになります。

犬はどの程度の高さから落ちると怪我をするか、という明確な基準はありません。しかし、地面の状態(すべりやすさや固さなど)や犬の体格次第では、自分の体高よりも少し高い程度の場所から落ちただけで骨折やねんざをする可能性があると考えられています。

特に抱っこされる機会の多い小型犬は骨が細く、関節も華奢なので、ちょっとした衝撃で足や腰、背中の骨が損傷してしまうことがあるのです。ねんざや骨折だけでなく、下半身が麻痺してしまう可能性もあるので、落下には十分気をつけなければなりません。

また、骨がもろくなりやすい老犬や骨格形成が未熟な子犬は、さらにリスクが高まるので、慎重に扱うことが必要です。

犬が落下したとき、「キャン!」と甲高い声を上げたときや、動くときに足を引きずるような様子が見られたりしたときは、何らかの怪我をしている可能性が高いでしょう。また、落下後は寝てばかりいて動きたがらない場合も、どこかを怪我していることが考えられます。

落下後しばらくしても、そうした様子が続いたり、触られることを嫌がったりする場合は、念のため動物病院で検査をしてもらうといいでしょう。

2.頭を打っていないか

猫は高いところから落ちても頭を打たない、と言われるのは、猫の体が非常に柔らかく、体の傾きを検知する能力が発達しているためだと言われています。高い場所から落ちても、頭や背中から落ちて致命傷を負わないように、くるりと体を回転させることができます。

しかし、犬はそのような体の仕組みにはなっていないため、抱っこしている高さから落としたときに、頭や背中を打ちつけてしまうことがあります。尻尾側よりも頭側の方が重いため、頭から落ちて、衝撃が頭や首に集中してしまう危険性もあるのです。

そのため、犬が落下したときに頭を打つと、脳震盪などを起こすことが考えられます。落ちた直後に立ち上がることができなかったり、立ち上がっても目の焦点が合っておらずふらふらと歩いていたりする場合は危険です。

一時的な衝撃を受けただけですぐに回復することもありますが、そうした状態が続く場合や、その後嘔吐をくり返したり体が痙攣したりした場合は、すぐに動物病院に連絡してください。

最悪の場合、脳挫傷や脳出血といった重篤な症状を引き起こしている可能性もあるので、むやみに体を動かす前に、一度電話で獣医師の指示を仰ぐと安心です。

3.元気の消失や排泄異常などはないか

犬を落としてしまった場合、足腰の骨や関節を怪我したり、頭をぶつけたりすることが多くあります。内臓部分は骨格に守られているため、基本的に内臓を損傷することはあまりないとされていますが、着地の姿勢や落下時の状況によっては、内臓系のトラブルが発生することもあります。

臓器が傷ついたり、腹腔内出血を起こしてしまったりする可能性もあるので、いつもよりも元気がない、食欲がないといった変化が見られるときは様子を観察しておきましょう。

また、血尿や血便が出ることもあるので、落下後2〜3日は犬の全身状態や行動に変化がないか、しっかりと確認してください。

まとめ

小型犬や子犬をはじめ、体を動かしにくくなった老犬などは、飼い主さんが抱っこする機会も多いと思います。

しかし、人間が抱き上げている高さから犬が落下すると大変危険です。

抱き方や周囲の様子には十分気をつけて、安全に抱っこしてあげるようにしてくださいね。

(獣医師監修:寺脇寛子)

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