発表時に賛否を分けてもレジェンドとなるマシンがあれば“そういえばあったね…”な残念キャラも。ユーザーの想いとの微妙なズレや、コンセプトを先取りし過ぎたり。ライバル心と遊び心が満載の原付一種も、超懐かしい!
●文:伊藤康司 ●写真:YM ARCHIVES
トガリ系:KATANAを超えろ!?
オーソドックスなバイクしかない時代に登場したKATANAは、今やレジェンドに。しかし時代の先取りや未来に追いつこうとしたバイクの中で、爪痕を残せたマシンは極めて少ない。
― ‘81〜SUZUKI GSX1100S KATANA:異形バイクの最右翼!
‘81年のケルンショーで公開され、ドイツのターゲットデザインが手掛けた斬新なスタイルは、会場アンケートで「大好き」と「大嫌い」の真っ二つに割れたのは有名な話。発売と同時に大ヒットし、スズキのレジェンドに君臨!
【国内750は認証に泣く】国内は自主規制で750ccが上限な上に車両保安基準でライディングポジションの型式認定が取れず、大アップハンドルを装備して“耕運機”と呼ばれた。
タコ/スピードの文字盤が重なるコンビネーションメーターや、サイドカバーのチョーク用ダイヤルなど、装備も随所に斬新な意匠。
― ‘86〜 SUZUKI GSX400X IMPULSE:性能を超えて先走ったカタチ
かつてターゲットデザインに在籍したハンス・ムートが、六本木をイメージしてデザインしたが、東京タワーと呼ばれた。GSX-R譲りのパワフルな新エンジン/角断面フレーム/E-フルフローターサスペンションで走りは抜群…。
― ‘14〜 HONDA NM4-01/02:開発テーマは近未来&COOL
メーカーが本気で作った「金田のバイク」は、NCシリーズの並列2気筒745ccのDCTを搭載し、大型AT免許で乗れる。可変色(バックライト)のデジタルメーター等で未来感を打ち出すが、発売時から激レア…。02はサイドBOXが標準装備されていた。
オフ系:生まれた時代が早かったかも
オフロード車から分岐した変わり種のトレッキングやラリーレイド車。しかし当時はバイクブームゆえに“直球モデル”じゃないと市民権を得られなかったのかも…。カタチもコンセプト的にも、いま販売したら、けっこう売れるんじゃないか?
― ‘81〜HONDA CT250S SILK ROAD:このユルさが素敵!
XL系の単気筒を搭載するオン/オフ両刀使い。スーパーローギアの設定や燃料タンクのグラフィックから“田んぼバイク”と呼ばれたが、キャンプツーリングにも最適な一台。
― ‘87〜 YAHAMA TW200:元はオフ車です!
‘90年代後半に“ティーダブ”の愛称でストリート系カスタムで人気を博したが、登場時はバルーンタイヤ装備の本格アドベンチャー。こんなに化けるとはヤマハさんも想定外!?
― ‘88 YAHAMA TDR250:じつは万能マシン
ファラオラリー参戦車をモチーフに、オフ車のシャシーにTZR250のエンジンを搭載する本格ラリーレイドレプリカ…だが、コンセプトの真意が伝わらず、ほぼ撃沈(涙)。
超・存在感:ウケるウケないの線引きはドコ?
豪華絢爛な2ストや“まんまコンセプトモデル”は手が届きにくいけどインパクト絶大! なのに身近なスーパーカーやレトロモダン、イタリア風味がヒットしなかったのはナゼ??
― ‘71〜 SUZUKI GT750:2ストローク史上もっとも豪華!
スズキ初のナナハン、かつ国産量産車初の水冷エンジンを搭載。2ストロークはシンプルでカッ飛ぶイメージだが、GT750は豪華さや静粛性を追求。3気筒なのにマフラーも4本出しで威風堂々。なんと白バイにも採用された。
テールランプはひょうたん型!
― ‘04〜 HONDA VALKYRIE RUNE:コレでも市販量産車!?
GL1800の水平対向6気筒を搭載したコンセプトモデルを、アメリカの強い要望でそのまま市販化。フロントのスプリンガーフォークやリヤのプロリンク&プロアームなど専用メカも満載! 総生産台数は1200台以下というレアモデルだ。
― ‘92〜SUZUKI SW-1:グッドデザイン賞!
21世紀に向けた商品開発運動から誕生。GNやDR系の4ストローク空冷単気筒250をレトロにフルカバー。タンク部やリヤ両サイドがラゲッジスペースで、シフトペダルは靴を傷めないシーソー式だ。
― ‘93〜 SUZUKI RF400R:スーパーカー風?
GSX-R400と同系の高性能な4気筒エンジンを抱くミドルツアラー。性能やコンセプトはバッチリだが、サイドカウルのダクトの“フィン”があまりにスーパーカーで、ちょっと引かれたかも…。
― ‘95〜 YAMAHA TRX850:270度ツインの草分け
世界初の270度位相クランク並列2気筒を、パイプのトラスフレームに搭載。トラクション性能やハンドリングに優れたが販売面は…。ちょっと当時のドゥカティに似すぎていたのが敗因かも。
ミニ:仁義なきバトル!
‘70〜’80年代は“おもしろ原付き”の宝庫だけに、ココで紹介するのは極々一部。HY戦争の真っただ中、ライバル激似もお構いナシ! このバトル、原付二種で再燃しないかなぁ〜(笑)。
― ‘76〜 YAMAHA BOBBY
見たまんま人気のダックスに対抗。’80年にはモンキー&ゴリラ対抗のポッケ&フォーゲルも発売するが、どれも短命(涙)。
― ‘78〜 HONDA PALADIN
革命的な原付ロードパルから派生。スポーツサイクルの三角フレームを意識したが、乗り降りしにくくしたのはどうなの…?
― ‘79〜 HONDA MB50
ホンダ初の2ストローク・ロードスポーツ。Xフレームやコムスターホイールなどスタイルも斬新な原付スポーツの新機軸!
― ‘81〜 HONDA SQUASH
折り畳みハンドル車も用意した極少スクーター。CMキャラクターにタモリ氏を起用し「おもしろスクーター」を打ち出した。
― ‘81〜 HONDA MOTO COMPO
クルマに積めるバイクとして、コンパクトカーのシティと同時発売。セットで買った人がいたか定かでないが、コアな人気車。
― ‘82〜 YAMAHA POPGAL
「女の子用バイク」で登場し、メイク道具を入れるミラー付きバニティケースも装備するが、なぜかオジサンユーザー多し…。
― ‘84〜 HONDA PEOPLE
まさに「原動機付自転車」。わずか0.7ps、坂道はペダルを漕いで24ccのエンジンを逆アシスト!? もちろん原付免許が必要。
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