里親探しの新しい形を 平塚の「保護猫カフェ」開店5年 コロナ禍耐え、780匹の譲渡実現

カフェ内で保護猫をあやす井上社長=27日、平塚市明石町の猫カフェ「にじのはし」

 飼い主がおらず、地域で保護された猫の里親を探す猫カフェ「にじのはし」(平塚市明石町)が11月に開店5周年を迎えた。これまで約780匹の譲渡を実現するなど里親探しに奔走してきた。運営する井上充社長(43)は「保護すべき猫がいる限りは続けていきたい」と意欲を見せている。

 カフェは二宮町で野良猫を保護し、不妊手術などを施した上で地域猫として育てる活動をしていた井上社長が2018年11月に「譲渡型保護猫カフェ」としてオープンさせた。「自宅で猫を一時保護するボランティアの負担を減らし、里親を探す仕組みをつくりたかった」と振り返る。

 カフェでは県内で保護された猫を「店員」として預かって飼育スペースに放し、そこに来店客が入って行って触れ合う。来店客が気に入れば、店を通じて所有権のある愛護団体などに里親としてマッチングする仕組みだ。

 新型コロナウイルスの感染拡大はカフェにも影響を及ぼした。人同士の接触を避けるため、通常は同時に8人まで入室できるカフェを1組ごとの入店に制限。来客数は落ち込んだ。

 一般の喫茶店ならば休業し、国に補償金を申請することもできたが、「生き物を扱っているから休業はできない」(井上社長)とクラウドファンディングで活動資金を募り、営業を続けた。開店当初に掲げた年間100匹譲渡との目標もクリアしてきた。

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