【ミャンマー】ヨマ4~9月決算、最終赤字3倍の13億円[建設]

ミャンマーの財閥系持ち株会社ヨマ・ストラテジック・ホールディングス(YSH)が9日に発表した2023年4~9月期の連結決算は、最終損益が853万米ドル(約12億9,000万円)の赤字だった。赤字幅は前年同期から3.4倍に膨らんだ。21年2月の軍事クーデター以降の大型開発の停滞が足を引っ張る。ただ、実物資産の需要拡大に伴い不動産販売が伸び、飲食やモバイル金融の回復・成長も大きな増収につながった。

セグメント別損益は、主力の不動産部門(開発「ヨマ・ランド・デベロップメント」、最大都市ヤンゴン中心部の大型複合開発「ヨマ・セントラル」、賃貸「ヨマ・ランド・サービス」の合算)が前年同期の452万米ドルの赤字から606万米ドルの黒字に転換した。ただ、分譲販売の増加が主因で、ヨマ・セントラルは開発が頓挫する中で赤字が拡大した。

YSHは、(現金資産から)実物資産へのシフトで物件の需要が高まっており、向こう1年でも同様の傾向が続くとみている。軍事政権下で対米ドルの通貨チャット安傾向が続き、今年6月下旬以降は実勢レートが1米ドル=3,000チャットを超える水準で推移。不安定な現地通貨への信頼が揺らぎ、富裕層などのマネーが不動産に流れ込んでいる。

同社を含むヨマ・グループを率いる華僑系実業家のサージ・パン氏は、ヨマ・セントラルの開発再開に前向きな姿勢を見せている。今回の決算報告では、株主の承認を得られれば、年内にも工事を再開させる方針を示した。

■KFCなど増収

不動産以外では、4~9月はモバイル金融、リース業、飲食が黒字となった。22年12月に買収したモバイル送金大手「ウェーブマネー」では、中央銀行が金融のデジタル化を推進していることが追い風となっている。リース業は、新型コロナウイルス禍などで打撃を受けた国内観光の回復でレンタカー需要が高まり、飲食と共に黒字転換した。

外食には「ケンタッキーフライドチキン(KFC)」とミャンマー料理「YKKO」が含まれる。物価高やチャット安に伴い値上げを実施したが、店舗数の増加もあり売上高、純損益共に上向いた。年度末の来年3月末までには、2、3店舗を追加する方針だ。

YSH全体の4~9月の売上高は2.7倍の1億1,160万米ドル、本業のもうけを示すEBITDA(利払い・税引き・償却前利益)は3.7倍の1,879万米ドルだった。車両事業では、軍政が導入した輸入制限の影響で乗用車の調達・販売が厳しいが、供給量が限られる中で車両価格が高騰。日野自動車とニューホランドの商用車販売により増収となった。

ヨマ・グループは、シンガポール上場のYSHとヤンゴン上場のファースト・ミャンマー・インベストメント(FMI)を中核とする。FMIの23年3月期決算は、売上高が前期比20%増の約3,396億チャット(約245億円)。最終損益は、22年3月期の21億6,900万チャットの黒字から7億200万チャットの赤字に転落していた。

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