[社説]ガザ「人類の危機」 停戦し子どもたち守れ

 「ガザが子どもたちの墓場になっている」

 国連のグテレス事務総長は6日、パレスチナ自治区ガザの惨状をそう表現し、改めて即時停戦を求めた。

 ガザ保健当局は11日、ガザ市最大級のシファ病院が電力切れで機能停止に陥り、新生児2人が死亡したと表明した。

 パレスチナ赤新月社は12日、運営するガザ市のアルクッズ病院が電力切れで機能停止に陥ったと発表した。

 「道は破壊され、物資が運べない。水、食料、薬、マットレス。必要最低限のものがない」「逃げ場はなく、生き地獄だ」

 国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)の日本人職員が共同通信のオンライン取材に応じ、ガザの惨状をそのように報告したのは10月のことである。

 ガザの人道危機は悪化する一方だ。

 これまでの戦闘の死者はイスラエル側で1200人。ガザ側で1万1千人以上、このうち子どもの犠牲は4500人に及ぶ。

 イスラエルのネタニヤフ首相は、民間人の被害の責任はイスラム組織ハマスにあるとして停戦を拒否し、ハマスを壊滅させるまで攻撃の手を緩めない構えだ。

 ハマスの残虐行為に対する報復の軍事作戦であっても、民間人や子どもたちを「生き地獄」に放り込むような蛮行は誰にも許されていない。

 戦争や武力紛争の最中であっても人道的に守らなければならない最低限のルールが国際人道法で定められているのである。

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 事態は一刻の猶予も許されない。ガザの惨状を止めるには、国際社会が圧力を強める以外にない。

 米国のバイデン政権の仲介に応える形でイスラエル軍は、1日4時間の戦闘休止時間を設けることに同意した。

 だが、どこに避難せよというのか。行った先で身の安全が保証されているわけではない。

 イスラエル軍はシファ病院の地下にハマスが司令部を置いているとみており、凄惨な戦闘によりさらに多くの民間人、子どもたちが犠牲になる危険性が高まっている。

 ガザの現状は今や「人道危機」の段階を超えて「人類の危機が起きている」とグテレス事務総長は指摘する。

 国連安全保障理事会は関係国の対立から一致した対応ができず、機能不全に陥っている。

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 「国際社会は私たちを見放したのか」。映像を通して伝わってくるのは、ガザ市民の悲痛な叫びである。

 国連や国際社会がガザ市民を守らなければ、一体、誰が窮地に追い込まれた人々を守るのか。

 米国のバイデン政権は、イスラエル支援と人道危機への対処という相反する二つの政策の間で右往左往しているように見える。

 米国に対しては「人類の危機」への対処を優先するよう求めたい。何の罪もない子どもや民間人の犠牲をこれ以上増やすことがあってはならない。

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