【湖の水質ランキング】最もきれいな湖は北海道・福島県・秋田県にあった!水の環境基準「COD」も解説

旅先で訪れた湖のきれいさに感動した経験はありますか? 日本には琵琶湖のような669平方キロメートルにおよぶ大きな湖から、田沢湖のような水深が423mもあるものまで、さまざまな個性を持つ湖が点在しています。今回は、日本の湖の水質ランキングをご紹介! いずれも、どの程度のきれいさなのか、実際に訪れて確かめたくなりますよ。

水の環境基準として用いられる「COD」とは?

水の環境基準として用いられる「COD」とは、「Chemical Oxygen Demand=化学的酸素要求量」のことで、湖沼や海域などの水の汚れの度合いを示す指標です。水中の有機物など汚染源となる物質を、過マンガン酸カリウム等の酸化剤で酸化するときに消費される酸素量で表します。つまり、消費される酸素量が少ない湖の方が、水質がよいということになります。

このランキングは、環境庁が発表している「湖沼のCOD平均値によるベスト・ワースト順位」をもとに作成しています。

第9位 坂本ダム湖(奈良県吉野郡)

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奈良県吉野郡に位置する坂本ダム湖は、堤高103mのアーチダムによってつくられたダム湖です。COD平均値は1.0。

この周辺の観光スポットとして有名なのが天川村にある「みたらい渓谷」。巨石や奇石のほか、滝や木々がつくり出す自然を満喫できます。川沿いには遊歩道が整備がされており、吊り橋の上から滝を見下ろすこともできますよ。遊歩道コースは約2時間半です。

みたらい渓谷

https://www.vill.tenkawa.nara.jp/tourism/spot/5159/

第9位 鎧畑ダム(秋田県仙北市)

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同じくCOD平均値が1.0の鎧畑ダム湖は、秋田県仙北市にあるダム湖です。洪水調節と発電を目的として造られた重力式コンクリートダムによって生まれました。「秋扇湖(しゅうせんこ)」とも呼ばれています。

国道341号線に沿って広がるこの湖は、紅葉スポットとして人気。コバルトブルーの湖と紅葉した木々のコントラストが一際美しく、中間地点にあるダム公園からの展望に定評があります。さらに湖の上流部の新玉川大橋からの景色も必見! 水の多い時期には水没林を、水の少ない時期には湿原のような景色を見ることができますよ。

秋扇湖(鎧畑ダム湖)

https://tazawako-kakunodate.com/ja/shops/40

第8位 倶多楽湖(北海道白老郡)

倶多楽湖は、北海道白老郡にある支笏洞爺国立公園の特別区域に指定された周囲約8㎞のまるいカルデラ湖で、約4万年前にクッタラ火山の山頂部の陥没によってできたといわれています。COD平均値は0.95。2001年の環境省の公共用水域水質測定では、湖沼部門の水質で全国1位に輝きました。

この湖は、優れた環境維持に注力しており、大型バスの通行を規制しているため、静かなのが魅力。コバルトブルーに輝く水面が一層、神秘的に目に映ります。なお、11月から4月下旬までは道路が冬期間通行止めになるのでご注意ください。

倶多楽湖

https://shiraoi.net/see/kuttaralake/

第6位 磐梯五色沼湖沼群(福島県耶麻郡)

2016年にミシュラン・グリーンガイド1つ星に認定された福島県の磐梯五色沼湖沼群は、毘沙門沼・赤沼・みどろ沼・竜沼・弁天沼といった湖沼の総称です。COD平均値は0.7。沼によって、エメラルドグリーン、コバルトブルー、ターコイズブルーなど色が異なることから「神秘の湖沼」といわれています。

1888年、磐梯山頂北側の水蒸気爆発により、山体が崩壊。岩なだれが川をせき止め、数百もの湖沼が形成されたのです。この湖沼群一帯は、起伏が少なく1本道のため、初心者でもハイキングができます。約4km、所要時間は1時間10分~1時間30分です。ぜひ、訪れる時間帯や季節によって表情が変わる各湖沼を楽しんでくださいね。

磐梯五色沼湖沼群

https://www.urabandai-inf.com/

第6位 風屋ダム湖(奈良県吉野郡)

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磐梯五色沼湖沼群と同様にCOD平均値は0.7。風屋ダム湖は、奈良県南部、熊野川上流十津川にある1960年に完成した発電専用ダムのダム湖です。

風屋ダム湖のある奈良県吉野郡十津川村の見どころは、日本の滝100選に選ばれた「笹の滝」。狭い山道を抜けると、静寂な森の中、落差約32mの雄大な滝の轟音が響いています。夏に涼を取ることもできますよ。

笹の滝

https://www.vill.totsukawa.lg.jp/traveling_guide/spot/adventure/

第5位 田沢湖(秋田県仙北市)

田沢湖は秋田県中東部、奥羽山脈中にある周囲約20kmのほぼ円形のカルデラ湖です。COD平均値は0.65。水深423.4mで日本一の深さを誇り、鮮やかな瑠璃・碧・藍色に変化する湖面で知られています。

また昔、永遠に美しさを保ちたいと望んだ辰子という娘がいつしか龍と化してし、田沢湖に身を投じたという「たつこ姫伝説」が残っており、湖畔には金色の女性の像「たつこ像」も!

仙北市を訪れたら秘湯「乳頭温泉郷」にも訪れたいですね。古き良き時代の湯治場の雰囲気を残る7つの温泉があり、それぞれ源泉を持っています。宿泊者限定の「湯めぐり帖」2,500円・子ども1,000円を購入すれば、組合に加入している7軒(鶴の湯・妙乃湯・蟹場・大釜・孫六・黒湯・休暇村)の入浴が可能です。

乳頭温泉郷

http://www.nyuto-onsenkyo.com/index.html

第1位 神代ダム(秋田県仙北市)

秋田県仙北市角館町白岩に位置する神代ダムが造られたことにより生まれたダム湖。COD平均値は0.6。このダムは、豪雪地帯のため、ゲートピア上の通路は壁と屋根で覆われているのが特徴です。また、同ダム湖は、東北の耶馬渓と称される「抱返り渓谷」の中にあります。

この渓谷は遊歩道が整備されており、原生林や青い渓谷、滝などを眺めながらの散策が可能です。岩から松が生えた「巫女石」や、遊歩道の入口近くに鎮座する「抱返神社」、全長80mの吊り橋「神の岩橋」などを約40分で観光でき、夏は新緑、秋は紅葉と自然が織りなす絶景を楽しめます。

抱返り渓谷

https://www.city.semboku.akita.jp/sightseeing/spot/05_dakigaeri.html

第1位 猪苗代湖(福島県耶麻郡・会津若松市、郡山市)

神代ダムと同じくCOD平均値は0.6。福島県の猪苗代湖は日本では4番目に大きな湖で、面積は約103平方キロメートル、深さは約93mです。透明度12~の澄んだ水が最大の特徴。湖に注ぐ長瀬川が火山性の酸性水のため、水質は弱酸性の貧栄養湖となり、水中に藻や植物があまり繁茂しないことが透明度の高い要因になっています。

ぜひ訪れたいのが湖の北岸に位置する「天神浜」です。冬の厳冬期に、自然がつくり出す氷の芸術「しぶき氷」を見ることができます。これは湖水が強い西風にあおられて、岸辺の樹木に氷着する国内では珍しい現象なのだそうです。湖面では、しぶき氷以外にも、氷の隆起や流氷といった、さまざまな自然のアートを鑑賞できますよ。

天神浜

https://www.bandaisan.or.jp/fun/tenjinhama/

第1位 夏瀬ダム(秋田県仙北市)

神代ダム・猪苗代湖と同様にCOD平均値が0.6で1位に輝いた夏瀬ダム湖は、神代ダム湖の上流に位置します。

夏瀬ダムと神代ダムの中間には、飲むこともできる硫黄泉の「夏瀬温泉 都わすれ」という一軒宿があり、ゆっくりと過ごすことができます。この温泉は江戸時代から薬湯として知られていました。

また、秋田県産の黒毛和牛をはじめ、稲庭うどん、きりたんぽなど秋田の郷土料理と地酒を堪能することもできます。周辺には民家も旅館もなく、渓谷の流れや鳥のさえずり、雪の降る音が聞こえてくるような環境です。その名の通り、都の喧騒を忘れて、心身ともにリフレッシュできそうですね。

夏瀬温泉 都わすれ

https://taenoyu.com/miyakowasure/

第1位 支笏湖(北海道千歳市)

COD平均値が0.6で、神代ダム・猪苗代湖・夏瀬ダムに並び首位に輝いた北海道の支笏湖は、「支笏湖ブルー」といわれる青色の透明な水が眩しい湖です。水深363m、日本最北の不凍湖で、約4万年前に起きた激しい火山活動により、支笏カルデラに水が溜まったことで誕生しました。

さらにカルデラ形成後、風不死岳、恵庭岳、樽前山が一直線上に次々に火山活動を開始して成長。そのため、現在のようなひょうたん形の湖に。また、水深は田沢湖に次ぐ全国2位で、湖面が凍結することは稀です。

湖の周辺には、キャンプ場はもちろん、バードウォッチングを楽しめる「野鳥の森」といったアクティビティスポットが充実。まずは「支笏湖ビジターセンター」を訪れ、映像やジオラマで展示されている、支笏湖周辺に生息する生き物の生態や、湖の中の世界を知り、今回行く場所を決めるのもいいかもしれませんね。展示エリアの「森の世界」には、直径1.2mのマカバ(真樺)の実物もありますよ。

支笏湖ビジターセンター

https://www.welcome-to-chitose.jp/archives/tourism/9187.html

[参考]

おおさか環農水研

[Photos by Shutterstock.com]

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