長崎県が2024年度予算編成方針 事業見直しで10億円捻出 こども、食分野など重点配分

 長崎県は10月30日、2024年度当初予算の編成方針を発表した。厳しい財政状況が続く中、各事業のスクラップ・アンド・ビルドを効率的に進めるため、政策的経費に設ける予算要求基準(シーリング)の削減率を縮小する一方、個々の事業の見直しを強化。約10億円を捻出し、ビジョン策定を進める「新しい長崎県づくり」に関わる施策などに重点配分する。
 「新しい長崎県づくり」では▽こども▽交流▽イノベーション▽食▽健康の5点を重点分野に設定しており、約10億円はこのビジョン実現に必要な事業に配分。加えて、「県総合計画チェンジ&チャレンジ2025」で掲げる地域経済活性化や雇用確保、自然災害に対応する施策などにも振り分ける。
 本年度当初予算では政策的経費に前年度比40%減のシーリングを設定していたが、24年度は同5%減にとどめる。一方で個々の事業見直しを進めることで、重点配分に必要な経費を捻出する。ビジョン実現に向け、分野を超えた部局横断、融合的な取り組みを進めるとしている。
 県財政課によると、22年度は全国的な経済の持ち直しで県税収入が過去最高となるなど「貯金」に当たる財源調整3基金を取り崩さない財政運営を達成。一方で今後、社会保障関係経費や公債費が大幅に増え、本県の財政状況は厳しさを増す見通し。同課は「物価高騰の影響などを注視しながら収支改善対策に取り組むとともに、施策の選択と集中をより一層推進していく」としている。

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