17323|【要監修】愛犬を甘やかしすぎることのリスク4つ 「幸せにするために必要な厳しさもある」

1.愛犬の健康トラブルや病気

愛犬のことを大切にしているつもりでも、愛情がいきすぎて甘やかしてしまうと、健康上のトラブルや病気を引き起こしてしまう可能性があります。

甘やかしとして特に多く見られるのが、愛犬が欲しがるからといってご飯やおやつを多く与えすぎたり、人間用の食べものをおすそ分けしたりすることです。

しかし、このようなことを長年続けていると、カロリーが多すぎて肥満になってしまったり、塩分や糖分の過剰摂取で内臓疾患を招いたりすることがあります。

また、愛犬が散歩に行きたがらない様子を見て散歩の習慣をつけなかったり、外に出ても歩きたがらないからといってすぐ抱っこをしたりカートに乗せたりしていると、十分な運動量が確保できません。

運動をしないことは肥満につながるだけでなく、健康を維持するために必要な体力や筋力をつけられず、免疫力も低下してしまうと考えられています。そのため、病気になったとき回復するまでに時間がかかったり、年齢を重ねたときにあっという間に衰えてしまったりします。

2.要求吠えや問題行動が増える

愛犬がして欲しいことを考えて、その気持ちに応えることは大切なことです。しかし、それが過剰になると甘やかしとなってしまい、身体的なトラブルだけでなく行動的なトラブルも招きます。

愛犬を甘やかしすぎると、犬は自分の要求を何でも聞いてもらえると勘違いして、どんどんわがままになってしまうことがあります。そうすると、要求吠えなどが増えるだけでなく、要求を聞いてもらえなかったときに、威嚇したり噛んだりといった攻撃的な態度を取るようになってしまうこともあるのです。

かまってもらいたいときにかまってもらえないと家の中で暴れていたずらをしたり、おやつがもらえるまで吠え続けたりといった問題行動が見られるようになることもめずらしくありません。

また、このような困った行動をやめさせるために飼い主さんが要求に応じると、ますます問題行動が増えてしまいます。

愛犬のこのような状態を改善するには、飼い主さんの相当な覚悟と忍耐が必要。そのため、はじめから甘やかしすぎてわがままにならないように育ててあげるといいでしょう。

3.分離不安になる

愛犬を留守番させるのがかわいそうだからと、いつでもどこでも連れて行ったり、家にいる間過剰に構いすぎたりすると、犬はひとりでいられなくなってしまうことがあります。

ひとりにされることで強い不安やストレスを感じて、激しいいたずらをしたり、長時間吠え続けたり、自分の体を舐めたり噛んだりといった自傷行為をしたりすることがあるのです。これは「分離不安症」の症状で、犬がかかりやすい精神疾患の一種だとされています。

さらに、過度なストレスから下痢や嘔吐、脱毛、パニックなどの症状があらわれることもあるので、気をつけなければなりません。

たっぷりスキンシップやコミュニケーションをとることも大切ですが、犬がひとりの時間を落ち着いて過ごせるように適切な距離を保って生活をすることも必要だということを覚えておきましょう。

4.周囲に迷惑をかける

犬にとって必要なしつけをせずに好きなようにばかりさせていると、人間社会で楽しく快適に生きていくためのマナーやルールを身につけられません。

そうすると、犬は他の人や犬と上手に関わることができなかったり、家の中で吠えたり暴れたり、というような困った行動を取るようになってしまうこともあります。

そのため、散歩に行っても他人に吠えたり威嚇したりして楽しく遊べなかったり、騒音で近所に迷惑をかけてしまったりすることもあるのです。

まとめ

愛犬を可愛いがっている飼い主さんのなかには、「厳しいしつけや自由のない生活はかわいそう」と思って、知らず知らずにうちに甘やかしすぎてしまう人もいます。

しかし、生活する上で必要なマナーやルールを教えることは、愛犬が健康で快適に生きていくためにも必要なことなのです。

犬のしつけは厳しくするばかりではありません。メリハリをつけた接し方で、ぜひ正しい行動を教えてあげてください。

(獣医師監修:平松育子)

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