【MLB】 かつて大谷の後塵を拝した28歳 アンドゥハーを獲得したアスレチックスの狙いとは?

写真:2018年は大谷に次ぐ新人王2位に入ったアンドゥハー

メジャー通算7シーズン、39本塁打、総合指標fWARは2.3。この通算成績で、昨年はパイレーツのAAAでほとんどの時間を過ごした28歳の選手に、”平凡”以外の評を付けることは難しいかもしれない。

100試合以上に出場した最後のシーズンは6年前というこの選手を、ファンが思い出すのもまた難しいかもしれない。

しかし、かつて大谷翔平と新人王を争ったミゲル・アンドゥハーという若者の名前は、ヤンキースファンを主に多くのファンの脳裏に残っているのではないだろうか。

そのアンドゥハーはこのオフシーズン早々に新天地を得ることとなった。現地6日、パイレーツからウェーバー経由でアスレチックスへと移籍することになったのだ。

アンドゥハーを獲得したアスレチックスのデビッド・フォーストGMは『MLB.com』に対して獲得の意図を説明している。

「パイレーツのAAAで素晴らしいシーズンを送っていた。彼はまだ若い」「我々はまだ彼がメジャーリーグの打者だと信じている」

実際、アンドゥハーのAAAの成績は素晴らしい。103試合で打率.338、OPS.941で16本塁打。優れた打撃センスを発揮するのみならず、三振率11.8%に対して四球率10.1%とアプローチも抜群だ。メジャーでも30試合に出場してwRC+は105と、平均以上の打力を発揮していたことが分かる(wRC+は100を基準としている)。

アスレチックスとしては、このアンドゥハーの獲得は”二匹目のドジョウ”を狙ったものだ。昨年もアスレチックスはブレント・ルーカーをウェーバーから獲得している。

昨年AAAで打棒を振るいながらもメジャーに昇格できなかったルーカーは、アスレチックスでチャンスを得ると、自身初の30本塁打&オールスター選出と一気にスターダムを駆け上がった。アンドゥハーと立場は全く同じだった。

さらにフォーストGMはアンドゥハーの汎用性にも注目。デビュー当初は三塁を守り、三塁手としては失格の烙印を押されてしまったものの、今のアンドゥハーは外野の両翼と一塁にポジションの幅を広げている。フォーストGMは現状のチームに左利きの一塁手(ライアン・ノダ、タイラー・ソダーストロム、セス・ブラウン)が多いことを引き合いに、アンドゥハーがフィットする可能性を示唆した。

2年前からほとんどの主力をトレードに出し、「今オフはアスレチックス以外の全てのチームが勝とうとしている」(『USA Today』ボブ・ナイチンゲール)と揶揄されるほど、アスレチックスは再建モードの真っ只中にある。

しかし、フォーストGM率いるフロントはGMミーティング期間中に「多くの球団、代理人と話をした」と精力的に動く構えを見せ、特に先発投手を優先事項に挙げた。低予算のアスレチックスだが、再建中でも可能な限りデプスの整備を行うのが真骨頂だ。実際、昨オフも藤浪晋太郎含む6選手をFAから獲得している。

ラスベガスへの移転問題に揺れ、2024年シーズン以降はどの球場でプレーするかも定かではないアスレチックス。そのためFAで複数年契約を結ぶのは難しいことが予想される。しかし、アンドゥハーのような原石を探し出し、”マネーボール”の元祖の意地を見せたいところだ。

© 株式会社SPOTV JAPAN