マップを探索し領地を広げ文明を発展させるのが楽しい!MMO戦略ゲーム「文明と征服:EOC」レビュー

文明と征服:EOC」をレビュー。9つの文明の発展を描いたスマートフォン向けのMMO戦略ゲーム。土地を切り開く探索のおもしろさやダイナミックに表現された発展など、本作の魅力について紹介する。

「文明と征服:EOC」は、SPOTLIGHT NETWORKからリリースされたスマートフォン向けのMMO戦略ゲーム。9つの文明の中から自分の担当する文明を選び、発展させていくことが目的だ。舞台となるのは「テラ大陸」という架空の大陸だが、登場する文明は日本、フランス(仏)、中国、朝鮮、ブリテン、アラブ、ゲルマン、ロシア、ローマ…と、人類の歴史上存在した文明となっている。こうした文明の持つ文化や、発展の流れをダイナミックに体験できることが本作ならではの魅力だ。

■土地を切り開き領土を拡張!帝国を築き上げるMMO戦略ゲーム

大まかなゲームの流れは、一般的なスマートフォン向けのMMO戦略ゲームを踏襲している。自国の領地マップで国力を高め、ワールドマップにおける他プレイヤーと協力・対戦プレイを行うというスタイルだ。

領地マップでは、探索によって自分の領地を広げつつ、施設を建設・レベルアップすることで国力を高めていく。ゲーム開始当初は、マップ内のほとんどが「迷霧」と呼ばれる霧で覆われており、限られた場所しか確認できない。そこでまずは「偵察兵」を派遣し、「迷霧」を晴らすことになる。

「迷霧」を晴らせば即座に自分の領地になるのかといえば、もちろんそんなことはない。逆族たちが土地を占領しているからだ。そこで今度は部隊を派遣。バトルの結果、逆族を倒すことができれば土地を自国のものにすることができ、施設が建設可能になる。

バトルはフルオートで行われ、プレイヤーは一切介入できない。プレイヤーにできることは、部隊に所属させる英雄の選択や兵の補充といった事前準備だけだ。

部隊には最大3人までの英雄を編成でき、さらに英雄には3つまでスキルを設定できる。どのスキルとどのスキルを組み合わせれば有利に戦えるか、事前に考えておくことがポイント。

獲得した土地には施設が建設できるが、どこにどんな施設を建てられるかは固定。箱庭的にカスタマイズできるわけではない。だがその代わり本作には、文明を発展させるという要素がある。

自国内の拠点となる施設「市役所」が一定レベルに達すると時代が進み、文明が発展。筆者は今回「日本」を選んでプレイしたが、たとえば「日本」の場合、文明の発展によって木造の屋根から黒い瓦屋根へ変わるなどといったビジュアル的変化が発生。歴史の一コマに立ち会っているかのように思える。自国内のビジュアルが一変するこの演出は、「発展」がダイナミックに感じられる表現だ。

■文明絵巻を揃える!各文明の文化を味わう楽しさ

一般的なMMO戦略ゲームでは、ゲーム内のある段階を過ぎると自国内でできることが減り、ワールドマップでのマルチプレイがメイン舞台になっていく。ただ本作の場合、自国領のマップがかなり大きめに作られており、ソロプレイのボリュームも大きい。そのボリュームを支えるものとして用意されている本作ならではの要素が、「文明絵巻」だ。

「文明絵巻」は、本作でプレイヤーが選べる9つの文明以外にもバイキングやマヤ、エジプト、インド…といった様々な文明を絵巻物としてビジュアル的に表現したコンテンツ。ただ、どの文明のビジュアルも最初はパーツが欠けた状態となっており、絵巻物を完成させるためにはすべてのパーツを集めなければならない。

パーツは自国内の遺跡から発見できる。遺跡は、自国内のマップで「迷霧」を晴らした際に発見できる。この遺跡に「偵察兵」を派遣すると、さまざまなアイテムを発見可能。この発見の際に、「文明絵巻」のパーツを発見できることがあるのだ。

パーツを発見したり、「文明絵巻」を完成させたりすると、報酬アイテムがゲットできる。つまり「文明絵巻」はゲーム的に、報酬獲得手段のひとつでしかない。ただ本作が「文明」をテーマに掲げていることを踏まえると、作品内で占める比重は重いと言っていいだろう。

実際に本作は、NPCや他プレイヤーとのバトルより、領地マップ内を探索して自分の領地を拡大していく探索要素に強い魅力を持っている。「文明絵巻」はこの探索要素の延長線上にあり、探索によって他の文明の足跡を発見していく感覚は、まるえ遺跡の発掘をしているかのような楽しさを感じた。

■文明を味わうことがポイントの一作!そして文明の敵とは…?

既に触れた通り、本作は基本的に一般的なMMO戦略ゲームを踏襲している。豊富なコンテンツとサクサク進むテンポを備えた本作、単純にMMO戦略ゲームとしてプレイしてもおもしろい一作だ。ただやはり、歴史や文明といった要素に興味を持つ人がプレイした時に、楽しさを最大限味わえることは間違いない。文明の発展や「文明絵巻」といった要素はもちろん、各文明によってボイス再生時の言語まで変えられており、こだわって開発されたことが見て取れる。

ところで、本作のワールドマップの要素には「征戦」というものがある。邪教を崇拝する信者たちと戦う、バトルメインのコンテンツだ。この「征戦」、単純に歴史上の宗教的な争いに着想を得たものに見えるが、崇拝の対象となっている邪教の神の名前は「無貌の神」。「クトゥルフ神話」好きであればこの名前だけでピンときたことだろう。これは、「クトゥルフ神話」における邪神・ニャルラトホテプの異名の一つだ。死と狂気と混乱をまき散らすニャルラトホテプが、あらゆる文明が倒すべき敵として設定されているのが興味深い。

筆者は本作を最後までプレイしていないので、「無貌の神」という名称が単に名前だけの引用なのか、それともストーリー的に「クトゥルフ神話」的な要素が絡んでくるのかはわからない。ただわからないことを確認するということまで含めて、本作は「クトゥルフ神話」好きとしてもプレイする価値がありそうだ。

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