クマ出没… 遭遇してしまったら、どうすればいい!? クマを近寄らせないためにできる事は!?【長島カイセツ・テレビ派】 

【長島カイセツ】広島でも目撃情報相次ぐ クマ被害の実態は?

長島清隆解説委員が、注目のニュースを分かりやすく分析・説明する「長島カイセツ」です。クマによる被害が多発しています。環境省は、2023年度に入って、10月末までに、被害にあった人が過去最悪の180人に上り、この内5人が死亡した事を明らかにしました。広島でも、目撃情報が相次いでいます。

広島でもクマの目撃情報が…

イノシシ用の罠をしかけていたところ、体調1.3メートルのツキノワグマがかかっていたのを発見しました。この果樹園では、夏以降リンゴやカキなどの実を食べられる被害が続いています。

一方、10月25日の夜には、広島市安佐南区八木町で住宅の敷地にクマが現れました。住民が懐中電灯で庭を照らすと、その先には、クマが木に登って、カキを食べていました。幹には爪痕がくっきりと残り、枝が折られていました。住民にケガはありませんでした。

■住民は…

「カキをおいしそうに食べていましたよ。カキを食べよるわーって言って。」

広島市の安佐動物公園で飼育しているツキノワグマは、子ども達に大人気です。しかし、10月28日、監視カメラが捉えたのは、夜の園内を歩く野生のツキノワグマでした。親子とみられ、残された糞には、カキを食べた痕跡がありました。安佐動物公園では、当面、野生のクマがいた「西園」を閉鎖しています。

クマを近寄らせないためには?

10月から11月にかけて、あわや人と接触と言う事態が、広島県内でも起きていました。この3か所には「山」と「カキなど果物の木がある」という共通点があります。クマを近寄らせないために、カキなどの果物の実は早く収穫し、その木自体が不要であれば、伐採することも大切という事です。ただし、届け出が必要とある場合があるので注意してください。また、残飯を外に放置したり、畑に撒くなど、クマのエサになる物を外に出さないようにしてほしいとのことです。安佐動物公園は、園内のカキの木を数年前に全部切ったそうですが、今回は、園外でカキを食べて、動物園を通過したとみられます。

広島県の過去5年間のクマの出没件数です。広島県は、今年度を含めた過去5年分を見ると、それほど多いわけではありません。しかし、人が住むエリアでの目撃情報が増えているために、危機感を覚えています。

なぜ、クマが住宅地に現れる?

クマが住宅地に現れるようになった理由は、色々考えられます。山奥でスキー場などが開発されると、クマがエサを求めて、麓まで下りてくるようになります。一方で、住宅地が山の近いところまで造成されていくので、人とクマが、お互いに近づいてしまっているのです。

さらに専門家は、別の理由も考えられると語ります。安佐動物公園で、クマの飼育を担当してきた畑瀬さんは、「他の動物の生態系の変化」がクマの行動範囲に影響している可能性を指摘します。

■広島市安佐動物公園 畑瀬淳さん

「イノシシ、シカってたくさん増えてきてる傾向にもありますので、エサの競合でクマがより広い範囲動かなきゃいけなくなる可能性もありますし、最近のブタ熱っていう病気がはやっていまして、野生のイノシシが山の中でたくさん死んでるはずなんですね。それをクマが食べることによって、肉食傾向に動いてしまう可能性もある。そういう意味でもちょっと気を付けておかなきゃいけないかなっていうふうに考えています。」

クマと遭遇してしまったら…!?

クマから目を離さずに、ゆっくり後ずさりしながら距離を取りましょう。クマは本来、臆病な動物ですので、距離が取れたと思ったら、クマの方から逃げていくそうです。また、安佐動物公園に現れた野生の親子のクマを見て、「小ぐまってかわいいな」と思っても、小グマには絶対に近づかないでください。必ず母グマがそばにいます。母グマは子どもが襲われていると思って、人を襲ってくる、襲わざるを得ない状況になります。

クマは1日に10キロ以上移動することができ、縄張りは持たない動物という事です。過去には、呉市などの沿岸部で目撃された例もあります。「まさかここには出ないだろう」という考えは禁物です。冬眠に入る12月頃までは、どこに現れてもおかしくありませんので、引き続き警戒をして下さい。

【テレビ派 2023年11月10日放送】

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