【感染症ニュース】第44週インフル全国定点21.13で増加 コロナ2.44で減少 専門医が語る「コロナ入院患者、全員退院」の翌日に起こったこと

引き続き警戒を

厚生労働省が、2023年11月10日に発表した「インフルエンザの発生状況について」第44週(10/30-11/5) によると、全国のインフルエンザ定点当たり報告数は21.13。19.68。前週の19.68から、1.45ポイント上昇しました。インフルエンザの増加は、11週連続となります。また、同日に発表された第44週(10/30-11/5)の新型コロナウイルス感染症の定点報告数は、2.44と、先週の2.86から微減しています。現状について、感染症の専門医に伺いました。

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感染症の専門医は…

感染症の専門医で、大阪府済生会中津病院の安井良則医師は「インフルエンザの流行が続いています。地域差はありますが、例年より早めに流行が始まり、10月も増加。11月に入っても流行が継続しています。じゅうぶんな注意が必要です。今後、流行に勢いがつけば、更なる増加に繋がる可能性もあります。現在の患者数の推移のグラフからみると、12月には、警報レベルに到達する恐れがあります。今後、更に流行が大きくなれば、高齢者にも波及していく恐れもあります。これから冬に向け、低気温・低湿度といった本来の流行に適した環境に近づきつつあることから、今後の患者報告数の動向には注意してください。また、第44週(10/30-11/5)の新型コロナの定点報告は、2.44となりました。勤務先に、新型コロナで入院していた方も、全員退院され、胸をなでおろしていたところ、その翌日には1名。翌々日に、3名の新たな入院患者さんがありました。下火にはなっていますが、今後、いつ増えてくるか予測がつきません。警戒を解くには、まだ早いでしょう」としています。

インフルエンザ症状と対策

インフルエンザは、1~4日間の潜伏期間を経て、突然に発熱(38℃以上の高熱)、頭痛、全身倦怠感、筋肉痛・関節痛などが出現し、鼻水・咳などの呼吸器症状がこれに続きます。通常は1週間前後の経過で軽快するが、いわゆる「かぜ」と比べて全身症状が強いのが特徴です。くしゃみ、咳、会話等で口から発する飛沫による飛沫感染が主な感染経路です。他に接触感染もあるといわれています。飛沫感染対策として、咳エチケット。接触感染対策としての手洗いの徹底が重要であると考えられますが、たとえインフルエンザウイルスに感染しても、全く無症状の不顕性感染例や臨床的にはインフルエンザとは診断し難い軽症例が存在します。これらのことから、特にヒト-ヒト間の距離が短く、濃厚な接触機会の多い学校、幼稚園、保育園等の小児の集団生活施設では、インフルエンザの集団発生をコントロールすることは、困難であると思われます。

新型コロナ症状と対策

発熱・鼻水・のどの痛み・咳などといった、風邪のような症状から始まります。また、頭痛や強い倦怠感などが良く見られる症状です。下痢や味覚・嗅覚障害を伴うことも少なくはありません。症状の続く長さ(期間)については、風邪やインフルエンザと比べて長いという特徴があるようです。中国のデータによると、患者の8割は軽症で治癒するようです。一方、2割弱の患者では、肺炎の症状が強くなり、入院して酸素投与などの治療が必要になることがあります。重症化する場合は、発症から1週間前後で発熱や呼吸困難などの症状が悪化し、場合によっては人工呼吸器による管理が必要となる例も見られています。特に発症から10日間前後は、病勢が進行していく場合が多いですから、最初は軽症であると思っても、慎重な経過観察が必要です。コロナウイルスの感染経路は、飛沫感染と接触感染です。原則として空気感染はありません。最も重要な対策は、咳エチケットと手洗い・アルコール消毒など手指衛生を徹底することです。手洗いが大切な理由は、ドアノブや電車のつり革など様々なものに触れることにより、自分の手にもウイルスが付着している可能性があるからです。外出先からの帰宅時や調理の前後、食事前などこまめに手を洗いましょう。また、感染拡大を防ぐため、人と人との距離を保つことが重要です。

引用
厚生労働省

「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の発生状況等について」「インフルエンザの発生状況について」令和5年第44週、インフルエンザQ&A、新型コロナウイルスに関するQ&A

取材
大阪府済生会中津病院院長補佐感染管理室室長 安井良則氏

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