走りのステージを選ばぬ3気筒ネイキッド・MT-09【バイク買取調査隊】

MT-09の車種プロフィール

2014年にデビューした3気筒エンジンのネイキッドスポーツ。開発コンセプトである「シンクロナイズド・パフォーマンス・バイク」が示すように、乗り手の意思とシンクロする操作性を目指したものだった。そのために用いられたのが、「クロスプレーンコンセプト」に基づいた新設計の3気筒エンジン(846cc)。クランクシャフトの回転による慣性トルクを少なくし、ライダーのスロットル操作に対する出力フィーリングを重視したものだった(インプレッション車両は2014年モデル)。
[(https://www.bikebros.co.jp/catalog/7/1_13/)

バイクインプレ

車両の特徴

軽量な車体に仕上げられており、スタンダードモデルで188kg、ABSモデルで191kgしかなく、取り回しだけで圧倒的な軽さが実感できるほど。

もう一つの特長は、このモデルに合わせて開発された並列3気筒エンジンだ。
スポーティな走りだけでなく、街乗りも含めた幅広いシチュエーションで楽しめるように開発されていており、そのコンセプトを実現する機構として「Dモード」がある。

これはいわゆるパワーモードのことで、「スタンダードモード」「Aモード」「Bモード」の合計3つのモードが搭載されている。

スタンダードモードは名前のとおり標準的なモードだが、右手を不用意に開けると、あっという間にハイスピードレンジに到達してしまうほどパワーがある。

Aモードは、そのスタンダードよりもパワーが強力になり、スロットルレスポンスも素早くなる。
右手の動きに対してトルクの発生にタイムラグを感じない鋭い加速を味わえる。

Bモードは最も穏やかなモード。
スロットルレスポンスが緩やかになり、最高速度もやや抑えられているため、ビギナーでも安心して扱えるパワー特性になっている。

エンジン

水冷4ストローク4バルブDOHCの並列3気筒エンジン。
最高出力は110ps、最大トルクは88N・m。
排気量は846ccで、ボア×ストロークは78mm×59mmというショートストローク設計になっている。

3気筒エンジンの特徴である太いトルクのおかげで、ラフな操作でもエンストしにくい。

足回り

前後サスペンションは、フロントに41mm径のインナーチューブを持つ倒立フォークを採用。
リヤはヤマハ得意のリンク式モノクロサスペンションとなっており、ショックユニットは水平近くまでレイダウンされて(寝かされて)いる。

ブレーキはフロントが298mm径のダブルディスク。
リヤが245mmシングルディスクとなっている。
スーパースポーツのブレーキタッチに比べると若干マイルドになっているが、コントロール性にすぐれている分、扱いやすい。

走り

ハンドリングの印象は「軽やか」のひと言に尽きる。

その理由は、車体の軽さと低重心化だ。
タンクや外装類などの重量物を徹底的に軽量化しており、さらに3気筒エンジンのシリンダーが52.5度と深く前傾していて低重心化に貢献している。

この軽量化と低重心化のおかげで、ワインディングでは車体の倒し込みがとても軽く、怖さを感じない。
そして倒し込んだ後も車体が安定しており、コーナリング時の自由度が非常に高い。
走行ラインを狙ったとおりにトレースできる気持ちのいいハンドリングに仕上げられている。

また、前後タイヤの接地感が強いことも特長だ。
とくに荒れた路面でその印象が強く、通常、MT-09のように車体が軽くてホイールベースが短いバイクだと前後タイヤが跳る傾向が強い。
しかし前後のサスペンションがよく動いてタイヤを路面にピタッと張り付けたようなグリップを発揮してくれるのだ。

※当記事は動画「MOTO BASIC」協力のもと、モトメガネが編集構成した記事となります。

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