明暗分けたJ2最終戦。J1昇格プレーオフ千葉は5度目の挑戦/六川亨の日本サッカーの歩み

4チームによるJ1昇格プレーオフは6年ぶりの開催に[写真:©︎J.LEAGUE]

12日のJ1リーグは横浜FMがC大阪に2-0で勝ち、神戸も後半アディショナルタイム90+6分に大迫勇也が劇的ロングシュートを決めて浦和を2-1と下したため、優勝争いはこの2強に絞られた。代表ウィークでJ1は中断するが、24日から再開される第33節で横浜FMが引分け以下に終わり、神戸が名古屋に勝てば初優勝が決まる。

このJ1よりも熱かったのが12日に最終節を迎えたJ2リーグだった。すでに優勝とJ1昇格は町田が手中に収めていたものの、2位から6位までは当日の結果次第という稀に見る大混戦。結果から言うと、2位の清水が水戸に1-1で引分けたため4位に後退し、栃木に逆転勝利を収めた磐田が得失点差で東京Vをかわして自動昇格の2位に滑り込んだ。3位は大宮に2-0で勝った東京Vで、5位は甲府との直接対決を2-1で制した山形が昇格プレーオフに進出。そして長崎に敗れた千葉が6位に後退したもののJ1昇格に望みをつないだ。

25日から始まる昇格プレーオフは、清水対山形、翌26日は東京V対千葉の組み合わせ(決勝は12月2日・開催場所は未定)。奇しくも“J1オリジナル10”の3チームが昇格プレーオフで残る1つの座を争うことになった。

この昇格プレーオフ、始まったのは2012年からで(17年まで開催)、それまではJ1の下位3チームとJ2の上位3チームが自動入れ替えだった。しかしJ1の残留争いはリーグ終盤まで白熱したものの、J2の優勝争い&昇格争いで上位3強が独走すると、それ以外のチーム同士の試合は盛り上がりに欠けることが多かった(J3リーグが誕生したのは2014年)。

そこでリーグ終盤までいかに盛り上げるかということで、上位2チームは自動昇格と変わらないものの、3位から6位以内に入ればJ1昇格の可能性がある「昇格プレーオフ」制度を導入したというわけだ。

この試みは初年度から成功した。甲府と湘南が自動昇格したのに加え、6位の大分が3位の京都、5位の千葉を連破してJ1復帰を果たしたのだ。そしてこの試合には少なからぬ“因縁”もあった。

1999年のこと、滝川第二高校から林丈統という小柄だがスピードのあるストライカーがジェフ市原(現ジェフ千葉)に入団した。スーパーサブとして活躍し、6年間で151試合出場22ゴールの結果を残し、06年に京都へ移籍した。そして09年のJ1リーグ第30節、林は大分戦での同点ゴールにより、大分はJ2へ降格することになった。

林はその後2010年にジェフ市原・千葉へ5年ぶりに復帰したものの、2年間ノーゴールで11年オフに戦力外通告を受けた。12年はタイのクラブに新天地を求めたが、ここでも結果を残せず退団。すると同年7月に大分が林に声をかけたのだ。リーグ戦では5試合出場のノーゴールに終わった。しかし11月23日に国立競技場で開催されたJ1昇格プレーオフ決勝、古巣との対戦となったジェフ千葉戦の後半28分に交代で出場した林は、41分に値千金のループシュートから決勝点を決め、大分を4年ぶりにJ1復帰へ導いたのだった。

ちなみに千葉は13年に5位で、14年は3位で、さらに17年は6位で昇格プレーオフに進出しているものの、いずれもチャンスを生かせずJ1昇格を逃している。特に14年の決勝は山形相手に引分ければJ1昇格というのに0-1で敗れてチャンスを生かせなかった。

6年ぶりに復活したJ1昇格プレーオフ、千葉は5度目の挑戦となる。相手は17年以来2度目の昇格プレーオフに挑む東京V。千葉は10年から、東京Vは09年から続くJ2暮らし。どちらのチームも昇格して欲しい気はするが、決勝に進出できるのは1チームのみ。26日の味の素スタジアムには、きっと両チームのサポーターが大挙して駆けつけることだろう。


【文・六川亨】

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