ソニーとNTT、広域リモートプロダクションプラットホームの形成および発展の加速に向けた連携・協力に関する協定を締結

ソニー、日本電信電話は、放送局や編集拠点、催事場等の多拠点間の広域リモートプロダクションプラットホームの形成及び発展の加速に向けた連携・協力に関する協定を締結した。本協定を通じ、放送設備の共有化・IP化・クラウド化による、保有・運用・維持管理に関するコスト低減およびコンテンツ制作のデジタルトランスフォーメーションを目指すという。

協定を締結する背景と目的

放送局においては、コンテンツ制作のデジタルトランスフォーメーションを目指し、放送設備の柔軟な制作環境および配信環境の整備を進めるべくIP対応装置の導入を順次進めている状況。特に、IP対応装置の広域での導入においては、拠点間の遅延の揺らぎがないネットワークを整備し、効率的な設備運用を支える必要があるという。

これらの背景を鑑みて、ソニーの映像制作用商品やソリューションとNTTの持つ大容量・低遅延の広域ネットワークを組み合わせた技術検討を加速し、リモートプロダクションプラットホームを形成することによる、放送設備の保有・運用・維持管理のコストの削減と、映像サービスの拡大による顧客体験の向上を目指すという。

各社の技術的要素

ソニー

各放送局の放送設備をIP化/クラウド化する「次世代放送局」構想を掲げており、その実現に向けて、次世代ライブ制作ソリューション「Networked Live」を提供する。「Networked Live」は、オンプレミスやクラウド、さまざまな場所にあるリソースを活用することで、ワークフローの効率化と機敏性・柔軟性をもたらし、高品質なライブ制作を実現するという。主に放送局向けに、ネットワークリソースの一括管理ソリューションや、オンプレミス・クラウドシステムを活用したスイッチャー、メディア伝送する際の効率的なネットワーク帯域運用に適するコーデックなどの商品を取り揃え、リモートプロダクションにも対応する。

NTT

IOWN APNの技術開発により、光レイヤのパス接続の上でIP対応装置の通信をマルチデバイス/マルチプロトコルでトランスペアレントに送信可能となる。また超大容量のエンドエンド光パス接続により、4K/8Kクラスの映像通信を非圧縮伝送/軽圧縮伝送技術により低遅延で通信可能となり、さらに遅延揺らぎなしの通信により、IP対応装置間のPTP等による高品質な同期が可能となる。さらに光パスの冗長化による高速な回線切り替えにより映像編集における厳しい可用性要件を実現するアーキテクチャを目指しているという。

主な連携・協力事項

  • IOWNおよびNetworked Liveを活用したネットワーク環境の構築・管理に関する検討
  • IOWNおよびNetworked Liveに関する技術・環境構築に関する検討
  • IOWNおよびNetworked Liveと既存ネットワーク・システムとの比較に関する検討
  • IOWNおよびNetworked Liveの将来機能をふまえた環境の拡張に関する検討

今後の取り組みについて

本協定により、双方が連携し、連携協定関係者とともに推進するべき事項等に関する情報・意見交換を実施しながら、広域リモートプロダクションプラットホーム形成に向け協働で検討を進めていくという。

これにより、コストの関係上これまで届けることのできなかった地方のスタジアムやライブ会場のコンテンツ配信など、より多くのコンテンツの提供による顧客体験の向上をめざしているとしている。

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