<レスリング>【2023年東日本学生選手権/秋季・特集】気持ちを切り替えて目指すはロサンゼルス、大けがから復帰して優勝の髙橋海大(日体大)

70kg級で昨年の明治杯全日本選抜選手権を制し、今年は74kg級に上げてパリ・オリンピックを目指すはずだったが、負傷でかなわなかった髙橋海大(日体大)が、2023年東日本学生選手権(秋季)の新人選手権・男子フリースタイル74kg級で優勝。復活戦を飾った。

3試合を闘い、初戦(2回戦)と準決勝は無失点のテクニカルスペリオリティ勝ち。決勝は日体大の後輩となる上村朋也に4点を失ったものの、最後は12点差をつけて快勝と、内容もまずまず。

▲3試合に勝って復活優勝を遂げた髙橋海大

髙橋は「6ヶ月ぶりの試合です。やはり試合は楽しいですね」と言ったあと、「勝ったから楽しいんでしょうけど」と付け加えた。半年も試合から遠ざかったのは選手生活で初めて。実戦復帰には不安もあったと思われるが、「試合だと気持ちも高ぶりますから…」と、逆の一面も口にする。押さえる自分がいた半面、「久しぶりの試合を楽しみました」と振り返った。

負傷したのは5月の東日本学生リーグ戦で、右ひざの内側じん帯を断裂。手術し、曲げたり伸ばしたりすることもできない状況から再スタート。リハビリ、上半身のトレーニングなどを経て、この大会の約1ヶ月前にマットに立つことができた。

レスリングの練習はできなくとも、その間のウエートトレーニングなどで体は大きくなったとの実感があり、74kg級の体づくりという面ではプラスもあったと感じている。

けがの後遺症もなく、メンタル面での調子もいい

昨年12月の全日本選手権は、階級を74kg級に上げた直後だったにもかかわらず3位。当然、パリ・オリンピック挑戦が視野に入っていた。しかし負傷し、「ひざのじん帯をけがした状態で勝てるほど甘い世界ではない」と思い、今年の明治杯全日本選抜選手権を前にして手術。しっかり完治させて再起する道を選んだ。

心のどこかに、世界選手権の代表が出場枠獲得を逃して12月に自分にもチャンスがやってくるかも、という気持ちがあったそうだが、「高谷(大地)さんは強かったですね。悔しかったですけど、気持ちの切り替えはできています」と、パリへの思いはきっぱりと断念。

今は、2028年ロサンゼルス・オリンピックを目指す気持ちで、「そのためにも今年の全日本選手権で優勝することが目標です。5年後は自分が絶対にオリンピックに出るつもりです」と強調。復帰戦をやってみて、技術面での改善点は見つかったとしながら、「けがの後遺症もなく、メンタル面での調子もいい」と、カムバックが順調に進んだことを話した。

▲パリ・オリンピック出場はならなかったが、気持ちはすでにロサンゼルスへ向いている高橋

日体大で練習する男子選手では、樋口黎、文田健一郎(ともにミキハウス)、日下尚(三恵海運)の3人がオリンピック代表に内定した。共通することは、常に率先して練習して目立っていること。いつもマットの真ん中で練習し、周囲を牽引しているそうで、「どこにいるか分からない、なんてことがないんです」と言う。最高の手本を「見習います」と話し、早くも5年後に思いをはせていた。

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