全国育樹祭 最先端の林業発信 ロボットや人工衛星 茨城・水戸で式典 羽田さん、毛利さんら紹介

林業への導入が期待される四足歩行ロボットの説明を受ける羽田美智子さん(手前左)=12日午前、水戸市緑町、鈴木葵撮影

秋篠宮ご夫妻が出席され、茨城県水戸市緑町のアダストリアみとアリーナで12日に開かれた第46回全国育樹祭の式典は、林業従事者の高齢化などを踏まえ、活用が期待されるロボットの紹介など、未来につなぐ最先端の林業の姿をニュース形式で全国に発信した。人工衛星を使った森林管理の手法を提示しながら、豊かな森林資源を守る大切さを訴えた。

式典後に行われたアトラクションはニュースショー形式で進行。同県常総市出身の俳優、羽田美智子さんをキャスター役に、林業の担い手の思いや県内の木造建築、造林作業に活躍が期待される四足歩行型のロボットを紹介した。

林業従事者の椎名琴絵さんは茨城県林業の姿を伝えながら、「後輩に教えられるかっこいい人になりたい」と夢を語った。建築家の高橋里菜さんは、保育施設の建物に木材を使うことで「ぬくもりや香り、柔らかさに触れることで豊かな感受性を育める」と訴えた。

ニュースショーでは同県日立市出身の俳優、渡部豪太さんが県内の木造建築をリポート。同県石岡市のかやぶき民家や県産材で復元された水戸城大手門、100%県産材で建築された大子町庁舎を紹介した。

最先端の林業技術については、森林総合研究所(同県つくば市、森林総研)の研究ディレクターを務める宇都木玄(はじめ)さんが、四足歩行ロボットを活用する「スマート林業」の取り組みを紹介。林業では再造林の経費がかかったり、急斜面で人手作業が多かったりするなどの課題があるため、宇都木さんは「山の傾斜を(ロボットが)歩いて作業ができる未来を考えたい」と話した。

茨城県で2005年に開かれた全国植樹祭に出席した宇宙飛行士の毛利衛さんは、県と宇宙航空研究開発機構(JAXA)、森林総研の3者が取り組む衛星データを利用した森林管理に必要な情報を一元管理する「森林クラウド」の可能性に言及。県が市町村に森林の変動を提供していることを挙げ、「茨城県で実証し全国、世界に広げようという構想がある。アイデア次第で林業が盛んになる」と未来を描いた。

式典を締めくくるエピローグでは県内の音楽家グループ「茨女(いばじょ)」が森にまつわる曲を演奏したほか、県立水戸二高ダンス部が息の合った踊りを披露。同県北茨城市出身のアーティスト・石井竜也さんは05年植樹祭のテーマソング「緑の山」などを歌い上げ、約2000人の観客から喝采を浴びた。

© 株式会社茨城新聞社