不登校の生徒たちに集う場を 月2回の「保健室」 元教員が加古川で開設「いつか戻れるきっかけに」

ラジオ番組でリスナーからの質問に回答する荒内和子さん(左)=びぃぷらす加古川

 兵庫県東播地域の中学校で32年間勤務した元教員の荒内和子さん(55)が、不登校やひきこもりの生徒たちのためのフリースペース「ほっとスペースお茶の間」を、同県加古川市総合福祉会館(同市加古川町寺家町)で開いている。今秋からコミュニティーFM局「BAN-BANラジオ」でも番組を始め、学校生活に不安を抱える生徒らに寄り添ったメッセージを発信している。(宮崎真彦)

 荒内さんは同市出身。昨年まで同市と播磨町の5校で勤務した。今春退職し「体力があるうちに取り組みたかった」と、フリースペースを開設した。教員生活では、数多くの陸上選手の指導に当たる一方で、不登校の生徒たちとも向き合ってきた。フリースペース開設の大きなきっかけになったのが、3年前からの新型コロナ禍だった。

 当時の1年生は入学直後から2カ月近く休校。再開後は分散登校で、教室では隣や前後の席に同級生がいない状態だった。会話や大きな声で笑い合うこともなく、孤立する生徒の姿を現場で見てきた。荒内さんは「今までできていた学校生活ができない。ひきこもりの生徒が増えるだろうな」と感じた。

 だからこそ、誰もが立ち寄って何でも話すことができる「ほっと、安心感を持てる保健室のような居場所づくり」への決心が固まった。今ではフリースペースに一度に十数人の生徒が集うこともある。ラジオ番組には、不登校の子どもたちだけでなく、保護者からも声が寄せられる。

 荒内さんは「学校では大変なこともある。けれど、人と人がつながる楽しい場所だと、教員を辞めた今、痛感している。フリースペースやラジオ番組が、いつか(学校に)戻れるきっかけになれば」と話した。

 「ほっとスペースお茶の間」は毎月2回(隔週の日曜)、同館で午後1~4時に開く。荒内さんが出演するラジオ番組は、毎月第2火曜の午前11時からの「びぃぷらす発」の中で放送。動画投稿サイト「ユーチューブ」でも配信している。

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