【マイルCS/危険な人気馬】「ローテも血統も勝率0%のWパンチ」 前哨戦Vの一角は“消し”判断

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今週は秋の最強マイラー決定戦、第40回マイルCS(GI、芝1600m)が京都競馬場で行われる。

今年は前年の覇者セリフォスを筆頭に、マイルGI勝ちのあるシュネルマイスター、前哨戦の富士Sを制したナミュール、毎日王冠で古馬を撃破した3歳馬エルトンバローズなど、個性あふれるメンバーが集結した。

そんな中、マイル重賞2勝のソウルラッシュが、今回の「危険な人気馬」の標的となる。

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■父ルーラーシップが抱える問題点

3歳の暮れからマイル戦に出走するようになってから、安定した成績を残しているソウルラッシュ。昨年のマイルCSでは、勝ち馬からコンマ3秒差の4着に好走。前走の京成杯AHでは、トップハンデの59キロを背負いながら、好位から鋭い切れ味を繰り出し、1分31秒6と好時計をマーク。重賞2勝目を飾り、勢いに乗ってGI奪取を目論む。

しかし、その京成杯AHからの直行ローテに、不安材料が顕在する。過去10年のマイルCSで、前走・京成杯AH組は【0.0.0.9】と全く馬券に絡んでいない点。9頭のうち、4頭が京成杯AHを勝って本番に臨んでいるが、2018年のミッキーグローリー5着が最高着順で、ほとんどが2桁着順に敗れており、出走間隔が開いている点は、マイルCSでは減点材料だ。

もう一つの不安材料は、ルーラーシップ産駒という点。マイル戦は守備範囲で、重賞勝ち馬も輩出している同産駒だが、マイルCSが行われる舞台、京都芝1600m外回りコースでは、2016年の産駒デビュー以降【0.3.2.24】と、一度も勝っていないコースなのだ。

京都競馬場は3年ほど改装期間があり、出走頭数が少ないことも多分に影響しているが、以下主なコースの、勝率、連対率、複勝率を記すと、

中山芝1600m 10.6% 22.5% 31.0%
東京芝1600m 10.2% 19.0% 25.9%
京都芝1600m内 8.8% 16.5% 19.8%
京都芝1600m外 0.0% 10.3% 17.2%

得意とする関東圏の舞台に比べ、京都コースはかなり相性が悪い。ソウルラッシュ自身は、今年のマイラーズCで3着に好走し、コースを経験済みだが、GIIを勝ち切れないところは、父のコース相性の悪さが影響しているのかもしれない。

今回は名手J.モレイラを鞍上に迎え、GI獲りへ万全の態勢を敷いたソウルラッシュ。GII・GIIIは【2.1.1.0】と崩れない同馬も、GIではこれまで3戦して上位に食い込むことができず、家賃がやや高い印象もある。加えて、ローテ相性の悪さ、父ルーラーシップのコース適性の悪さなど、不安材料が多く、鞍上込みで人気の一角を占めるようであれば、妙味ほどの信頼感はなく、ここは思い切って「消し」でいきたい。

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■著者プロフィール

石川豊●いしかわゆたか
20代から競馬メディアに寄稿。「ユタカ人気」と言われた時代、武豊が騎乗する過剰人気馬をバッサリと切り捨てる馬券術を駆使し、年間回収率100%超に成功。以来、「1番人気の勝率は3割」を念頭に、残り7割の可能性を模索し、「危険な人気馬」理論を唱え続ける。

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