湯郷のボウリング場 突然の閉店 半世紀の歴史に幕、惜しむ声も

 美作市の湯郷温泉街で市民や観光客に親しまれてきたボウリング場「ゆのごうボウル トリアス」が10月末限りで閉店し、半世紀の歴史に幕を下ろした。突然の閉店で勝英地域からボウリング場が無くなり、常連客からは惜しむ声が出ている。

 運営会社の湯郷ヘルスセンターによると、トリアスは1972年にオープンした。14レーンにカラオケやビリヤードも備え、若者や温泉街の娯楽の場としてにぎわったが、新型コロナウイルス禍で売り上げが半減。今年も客は戻らず、電気料金などの高騰が直撃して事業を継続できなくなったという。

 出入り口は、破産手続きに入ることを知らせる張り紙が掲示され、固く閉ざされていた。同社は「湯郷から明かりを消すまいと頑張ってきたが…。コロナまでは客足が伸びていただけに残念でならない」としている。

 市スポーツ振興課によると、トリアスを拠点としていた市スポーツ少年団の美作ボウリングクラブスプリットは今後の活動が未定に。長男と次男がクラブで腕を磨き、自身も通った市内の女性(49)は「寝耳に水で、とても寂しい。親子でお世話になった場所なので、どうにか再開してほしい」と話す。

 同じ敷地内にある「てつどう模型館&レトロおもちゃ館」は当面、従来通り開館する。同社に建物などを借りて運営する永谷義人館長(73)は「立ち退きを迫られる可能性があるが、湯郷の観光振興のためにも何とか続けていきたい」と語った。

© 株式会社山陽新聞社