俳優急死の遺族側、パワハラ否定に「納得できぬ」 調査報告書公表、額のやけどの再検証訴え

宝塚歌劇団の会見を受け、遺族側の見解などを話す代理人の川人博弁護士(左)ら=東京都内

 宝塚歌劇団が外部の弁護士らによる報告書を公表したことを受け、亡くなった女性=当時(25)=の遺族側代理人弁護士らが14日、東京都内で会見した。上級生によるいじめやハラスメントを否定した報告書について「納得できない」と反論し、改めて謝罪や適切な被害補償を求めた。

 遺族側は今後、意見書を劇団に提出し、11月末までに劇団や阪急電鉄と面談交渉を行うという。

 代理人の川人博弁護士はパワハラが認定されなかったことに対し、「内容は失当。劇団と上級生の責任を否定する方向に誘導している」「一時代前の認定と言わざるを得ない」などと批判。「遺族は納得できない。報告書はハラスメントをなくすための適切な提言も行っていない」と指摘した。

 一方、過重労働が認められた点には「(労働時間は)実態よりも過少だが、遺族側の主張にほぼ沿っている」と一定評価した。

 女性は2021年8月、上級生が持っていたヘアアイロンで額にやけどを負ったが、報告書は「ヘアアイロンによる火傷はよくある」などと説明。川人氏は「皮膚が赤く3センチもめくりあがっている状態」「外傷が分かるほどひどい損傷」といった遺族の証言を示したにもかかわらず「軽傷のように扱っている」と主張、再検証を求めた。

 川人氏はまた「報告書は女性がLINE(ライン)で家族に訴えたことをほとんど否定している。遺族は『ここまで全部否定するのか』と悔しく思っている」と訴えた。(末永陽子)

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