アル-アティヤ、プロドライブ移籍後2戦目で早くも優勝。ドバイ・インターナショナル・バハを制す

 トヨタからプロドライブにマシンをスイッチした“砂漠の王”ことナッサー・アル-アティヤ(プロドライブ・ハンターT1+)が、11月10~12日にドバイで開催された2023ドバイ・インターナショナル・バハにおいて移籍後初優勝を飾った。

 TOYOTA GAZOO Racingでダカールラリー2連覇とW2RC世界ラリーレイド選手権の2連続3冠を達成したあと、2024年のダカールラリーを前に日本メーカーを離れたアル-アティヤ。彼とマシュー・ボーメルのペアは既報のとおり、プロドライブ陣営に加わり“ナッサー・レーシング”のバナーの下で大会3連覇に挑む予定だ。

 そんな彼らが、『プロドライブ・ハンターT1+』での2度目のクロスカントリーラリーにして、早くもその実力を発揮。初めてこのマシンをドライブしてからわずか3週間後に行われたドバイ・インターナショナル・バハでの成功は、来年のダカールラリーへの完璧な足がかりとなった。

 FIAクロスカントリー・バハ・ワールドカップの今季最終戦として行われた同イベントは、ドバイの街を囲む砂丘の中に設定された合計339.5kmのルートを3日間かけて走行するもの。

 アル-アティヤとボーメルにとって、砂丘でハンターT1+を走らせるのは今回が初めての経験だったが、彼らは合計168kmで争われた第1ステージでベストタイムを記録し優位に立つと、そのまま総合優勝へと突き進みトヨタ・ハイラックス・オーバードライブを駆るヤジード・アル・ラジを破り、開幕戦サウジアラビア、第2戦カタール、第4戦スペインに続くシーズン4勝目をマーク。前戦バハ・ポルトガル500で確定させたFIAクロスカントリー・バハ・ワールドカップのタイトルに華を添えている。

「ドバイ・バハは、新しいハンターT1+を使用した我々にとって素晴らしいラリーだった」とプロドライブのマシンでの初優勝を振り返ったアル-アティヤ。

「チームのためにも良い結果を残そうと懸命に努力したけれど、このクルマに乗っていることを本当に楽しんだ。次のステップであるダカールに向けて多くのことを学んだよ」

「ここにマシンを持ってきてくれて、この勝利のためにクルマを仕上げてくれたチームに感謝している。ダカールの準備としては素晴らしいスタートだ」

「来年1月のサウジアラビアでも勝つことができると思う。待ちきれないね」

ナッサー・アル-アティヤ(ナッサー・レーシング/プロドライブ・ハンターT1+)

■マシンは11月末にサウジアラビアに向けて出発

 プロドライブ・ラリー・レイド・チームマネジャーのアラン・マクギネスは、「今回の勝利は、サッサー(・アル-アティヤ)とマシュー(・ボーメル)、そしてプロドライブにとって、1月のダカールへの大攻勢の前に素晴らしい高揚感をもたらした」と付け加えた。

「ここの(ドバイの砂丘)ステージは、サウジアラビアで見られるものを非常によく表しているためだ」

「マシンの中では、シートポジションやサスペンションのセットアップ、そして私たちとチームがそれぞれ持っている役割を知ることなど、ナッサーが快適にハンドルを握れるようにすることが重要だった」

「イギリスからモロッコ、ポルトガル、ドバイへとマシンを運ぶのは、ロジスティクス的にチーム全員の大きな努力だったが、我々は協力してすべてを達成した。そのマシンは11月末にサウジアラビアに向けて出発する準備を整えるため、今週中にバンベリー(のプロドライブHQ)に戻る予定だ」

 既報のとおり、プロドライブは2024年のダカールラリーに計7台のハンターT1+を並べる。

 この中にはアル-アティヤ組(ナッサー・レーシング)はもちろん、前年2位のセバスチャン・ローブ/ファビアン・ルルキン組(バーレーン・レイド・エクストリーム)が含まれ、この他にプロドライブの“オフィシャル・ラリー・レイド・パートナー”であるブラジル籍のXラリー・チームから2台が出場。中国のユンシャンは3台体制での参戦予定だ。これらのマシンは11月29日にイギリスのプロドライブ本社を出発し、サウジアラビア行きの船に載せられることになっている。

マシュー・ボーメル(ナッサー・レーシング/プロドライブ・ハンターT1+)
ナッサー・レーシングのプロドライブ・ハンターT1+

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