鹿沼市が復旧工事費8675万円未払い 遅延金加えて支払いへ 市長陳謝、職員処分の方針 台風19号復旧事業

鹿沼市役所

 鹿沼市は14日、2019年に発生した台風19号の復旧事業で、20~21年度に市経済部農政課が発注した農地復旧工事費の一部8675万7千円が未払いになっていることを明らかにした。受注した市内の建設業者に遅延損害金513万5300円を加えて支払う方針で、必要経費を計上した本年度一般会計補正予算案を12月定例市議会に提出する。

 佐藤信(さとうしん)市長は同日の市議会全員協議会で「市民にも結果的に負担を頂くことになり、心からおわびを申し上げたい」と陳謝した。

 市によると、当時担当していた副主幹級職員2人と主査級職員1人が、多忙を理由に予算要求など必要な事務処理を滞らせていたことが原因。市は3人を職務怠慢の中で最も重い「減給」の処分にする方針。また管理監督責任として市長と副市長の給与100分の30を24年1月から3カ月間、減額する。

 未払いの対象は同市久野の農地4.86ヘクタールの復旧工事のうち、原材料費9万9千円を除く27件分の代金。国庫災害復旧事業の本体工事とそれに伴う市単独の付帯工事を含め、全て同じ建設業者が受注した。

 担当者3人は農地への土砂やごみの流入量が想定を大幅に超えたことから、20年4月~21年4月に受注業者に対し口頭で追加工事を発注。その後の正式契約や補正予算要求の事務手続きを怠った。その後も業者から未精算金の存在について通知を受けていたにもかかわらず、上司へ報告しなかった。

 今年3月に当該の主査級職員が事業内容を上司に報告する中で未払いの事実が判明。10月に受注業者と工事請負契約を締結し、遅延損害金について合意を得た。市は年内に綱紀委員会を開き、当該職員や上司らの正式な処分を決める方針。

© 株式会社下野新聞社